第317話 終わりへの旅 2
ジェフにダークエルフの住み処を聞き、向かうことにした
しばらく進み日が落ちてきた頃、今日は途中で休み明日ダークエルフの村へ行くことにした。小さな焚き火を囲んで休息をとる。フィリアナがお茶を一口飲んでふうとため息をこぼす。
「話を聞いて何事もなければいいですね。もしそうならわたくしたちの長旅は無意味に思えますが、安全だということがわかればそれに越したことはありませんから」
「なに言ってんのよまだ終わったわけじゃないのよ」
一息つくフィリアナにニーナが反論する。寂しい気もするが俺もここで終わってくれていたら嬉しいと思う。そんな話は知らないと、すでに倒したダークエルフたちで野望は終わっていたとそう言って欲しい。そしてもしよければ俺がもとの世界に帰るのを手伝って欲しい。地獄への扉を開くアイテムがここにあったんだ、あのユニコーンの男に事情を話せば手助けをしてくれるかもしれない。
翌日の昼ごろようやく村が見えてきた。ジェフの言うとおり思ったより時間がかかった。ここへはきっと徒歩ではなく馬車に乗ってくるものなのだろう。とりあえず俺とフィリアナそれからシャリンの三人で村を訪ねることにした。他のメンバーはいつでも来れるよう近くに待機してもらう。
村はどこにでもあるのどかな田舎と言った様子で、素朴で古めかしい建物がぽつぽつと並んでいる。村人のダークエルフたちはよそ者の俺たちに視線を向けるが関わりたくないといった様子でまた自分たちの仕事に戻ってゆく。そんな視線の中、歩き続けていると男が話しかけてきた。きっとこの村の護衛だろう。
「おい、お前たち止まれ。ここじゃ見ない顔だなどこから来た」
「あのすいません、突然で失礼ですがここの村長と話ができますか?」
男は訝しげに俺たちのことをじろりと観察した。
「一体こんな場所に何のようだ?話とは何だ?」
「ええと、ここらへんに旅に来たので挨拶だけでもと思いまして」
俺は適当な嘘をついた。いや、大まかに言えば嘘ではない、安全が確認できればすぐに退散する予定だ。それでも男は納得がいかないようでつま先から頭まで見上げている。
「挨拶ねえ、ちょっと聞いてくるついて来い」
言われるまま黙って男の後に続く。彼は俺たちを村の奥にある少し大きな建物へ案内した。ここで待っていろと言うとその中へ姿を消した。男が去った後はだれもおらずただ鳥のさえずりが聞こえてくるだけだ。少しし古びた扉が開き、中へ入れと手招きされる。
建物内はジェフがいたところのようにほこりっぽく、そこらへんにいつからあるのかわからないような本が積まれている。男に導かれ奥の部屋へと通された。
「ほらここだ、手短にな」
そういい残して護衛の男は外へ出て行った。俺は一度深く息を吸い、目の前の扉をノックした。