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第313話 絶極大地 3

ケンタウロスの男に町長の元へ案内された

 町長のジェフは椅子から立ち上がった俺を迎え入れてくれた。近くでその姿を見ると尖った耳に長い牛のような尾がついており、人間ではないことがわかる。


「こんな辺鄙(へんぴ)な町へようこそ、旅人さん。自分になにかできることはあるかな?」

「ええと、少しの間泊まる場所を貸してくれませんか。もちろん宿泊料は払います」

「ああ、いいよ、でも君たちの目的が何か聞いてもいいかな?」


 俺はここまでダークエルフの後を追って来たことを伝えた。


「ふーむ、ダークエルフね。確かにいるけどそんな悪いやつらだったかなぁ。ここら辺に小さい村が一つあるけどそこでいいなら紹介するよ。だけど君たちの望んでいる物はきっと見つからないだろうけどね」


 予想に反してこの周辺で暮らしているダークエルフたちは穏やかなのかもしれない。同じ種族でもその地域によって性質は違う。闇の宗教や絶極大地など恐ろしそうな名前のおかげでここがとんでもない場所だとばかり身構えていたが、実際はそうではないようだ。現にこの町も住民も穏やかな人ばかりだ。


 もしかすると少人数で向かって話をしたほうがいいかもしれない。今までとは違いお茶でも飲みながら真っ当な会話になる可能性がある。


「そうですか、ありがとうございます。あのすいませんがあなたはなんという種族なんですか?」

「ははは、私は適当な亜人の端くれに見えるよね。これでも一応悪魔なんだ、まあ端くれだけど」


 デーモンズクランというのは本当のようだ。だが目の前にいる優しそうな紳士はどうにも悪魔のイメージとはかけ離れている。


「さあ長話もあれだから、早速宿へ案内しよう」


 部屋の外へでて俺の仲間を見たジェフは驚いている。


「すごいなぁ、こんなに沢山の種族がいるのを始めて見たよ」


 彼は笑いながら俺たちを宿へと案内してくれた。小さいが居心地が良さそうだ。木で作られた内装にやわらかいベッド、一度寝転んでしまうともう旅のことなどどうでもよくなってしまいそうだ。激しい戦いを忘れここでのんびり生活するのも悪くないと思ってしまう。ピヨもポリーンもやはり疲れているのか横たわるとぐっすり眠ってしまった。少し休憩してから明日、買い物に向かおう。


 俺はジェフにそのことを告げ、シャリンとともに宿の窓から夕日に照らされた町を見た。小さいと思っていたがこうして見下ろすと多くの人が住んでいるのがわかる。遠くには赤く染まった海も見える。


「なあ、アリスガワお前家に帰れたらなにをしたい?」

「そうだなーまず両親に連絡するかな。まあ家が残ってればだけどね。ところでシャリンの仲間は旅に出ることに賛成してくれたの?」

「反対されると思ったから黙って出てきた」


 そう言って彼女は笑った。


「もしよければお前が帰る時、私も連れて行って欲しい。もちろんすぐに帰るよ、あの粉を手に入れたらな」

「あれは……まあ、えーっとあんまり使わないほうがいいと思うけど。でもみんなには一度来て欲しいな、この世界にはない食べ物とかたくさんあるから。アイスとか肉まんとか、あ、あとタピオカ」


 アイスと肉まんてコンビニのものばかりだ。タピオカは女の子が好きかもしれない。


「タピオカ……?ではそのタピオカというものを食べてみるとしよう」


 日が沈む中、俺たちはつかの間の休息を楽しんだ。

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