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第303話 狼狩り 1

セシリアは犯人が狼男だと言った

 案内された先は丘の上にあり眼下には穏やかな海が望める。今夜やってくるかわからないが見張ってみる価値はあるだろう。作戦はまだ考えていないがまずは敵の姿を知ることが優先だ。ランタンの火を消し、月明かりの下で目をこらす。ついて来た見張りの男は隣で辺りをしきりに見渡している。


 しばらく経ち暗さでだんだんまぶたが落ちかけてきたときヴェロニカに肩を揺さぶられた。


「おい、見ろあそこ」


 目をこすり茂みの中から森のほうに視線を向けるとそこには五名の男が立っていた。農家のほうを見てなにやら話をしている。すると男たちはそこで服を脱ぎ始め自分たちの鞄に入れた。


「ちょっあいつらなにやってんのよ!まさか変態なの?!」


 ニーナが俺の背中にのしかかり身をのりだす。


「いえ違うわ、彼ら変身する気よ」


 暗闇の中からはぐれたはずのエレナーゼとポリーンが姿を現した。


「あんたら、よかった生きてたのね、はぐれたからどうなったかと」

「そんなに甘く見ないでちょうだい。それよりほら」


 エレナーゼに言われ男たちに視線を戻すと彼らは突然苦しそうにうめき始めた。するとボコボコと体が変化し次第に髪や腕の毛が伸び、体中を覆い始めた。よく見えないが顔も口が(いびつ)に裂け始め鼻先が長くなり犬の容貌へと変化をとげた。信じられないような話だが今目の前で起きているのだ。あっという間に二メートルを超える恐ろしい狼男へと身を変えた。


 唖然としている俺たちを残し、男たちは羊農家のほうへ走っていった。しかし全員ではない、二名は変身せずもと来た道を帰ってゆく。もしかして彼らは狼男ではないのかもしれない。


「よしシャリンとニーナ、ローレンは男の後を追ってくれ。きっとあいつら自分の船に戻るだろうから。俺たちは狼男を止めに行こう。ローレン、帰って行った男たちを拘束できるか?」

「え、ええ、いや、まあ、やってみる」


 一通り思いついた作戦を伝えたとき隣にいた見張りの男が声を上げ走り出した。


「ヒッ、うわっなんだよあれ!化け物だ!みんなに知らせないと!」

「ちょっと待て……!」


 服の端を捕まえる前に村へと走り出してしまった。まずいここで村中の人が集まっては怪我人が出てしまう。ポリーンとピヨに追って欲しいが彼女たちでは止められないだろう。仕方が無いので今は目の前の狼たちに集中することにした。


「早く止めないと、でもあんなのに俺たちだけで勝てるかな。かすり傷一つ付けられない気がする」

「そうね、では待ち伏せをしましょう。羊を連れてきたところを迎え撃つの。私があいつらを炎の中に閉じ込めるから周囲を囲いながら少しずつ体力を減らしていきましょう」


 皆、エレナーゼの作戦にうなずいた。

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