第27話 誇り高き騎士、ケンタウロス族 3
護衛に見つかってしまったが町に入るため捕まることを選んだ亜李須川
「くぅ~なんなのよあの女!むかつく!野蛮な種族って、下半身が馬か蛇かの違いじゃない。なによ、私は誇り高きケンタウロス族です、とでも言うの?」
女の兵士が去ったあとニーナは狭い牢屋の中で尾を叩き付け怒っている。
「彼女はケンタウロス族、見てのとおり人の体と馬の足を持っている。おそらくここの領主に雇われているのだろう」
怒るニーナをよそにシャリンが冷静に説明してくれた。
「もうあのおっぱい女、今に見てなさい!そういえばシャリン、その、悪かったわねあたし尾で思い切りひっぱたいちゃって」
シャリンはニーナの謝罪に不思議そうな顔をしている。
「だからほら初めて会ったとき、あたし知らなくて襲っちゃったじゃない?怪我はもう大丈夫なの?」
ニーナは少し恥ずかしそうに謝った。
「あっああ、あのとき咄嗟に身を引いたからな。痛みはあったが今はもう大丈夫だ」
「そう、ならよかった。あんた結構やるのね」
「へへっこんなことぐらいだれでもできる」
褒められて今度はシャリンが恥ずかしそうにしている。どうやら二人は仲良くなったようだ。俺としてもありがたい。
ピヨは何も無い冷たい牢獄の中でつまらなそうにしている。
「ヒロ、ピヨつまらないよー」
痺れを切らしたピヨが俺の背中にのしかかるようにしがみついてきた。親の用事につき合わされぐずる子供のようだ。
「そういえばなんでピヨは俺にぶつかってきたんだ?飛ぶのに失敗したのか?」
俺は初めてピヨと会ったときのことを思い出した。
「あー空を飛んでたら気持ちよくなって寝ちゃったの」
「ええ……そんなことあるのか」
どうやら風に乗っていたらそのまま眠くなってしまったらしい。
しばらく退屈しているピヨの相手をしていると近くのドアが開く音が聞こえ、再び先ほどのケンタウロスが現れた。
「領主様が話しをしたいそうよ、人間と猫の亜人のあなた二人は付いてきなさい」