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第266話 密林の蛮族、ボアオーク 2

思わぬ敵に待ち伏せされ反撃を試みるセシリア

「う、うえ?なんだ?!」


 セシリアはすばやく剣を引き抜き、いのししの獣人からの攻撃を避けた。


「くそっ、い、いてぇ!このクソ女が、調子に乗りやがってもう容赦しねぇ、泣いて許しを請うまで徹底的に痛めつけてやる!」


 獣人は鼻を鳴らし、よだれを飛ばしながら怒り出した。


「それはこちらの言葉よ、下品な豚の出来損ない。あなたたちはオークと豚のあいの子かしら?よっぽど女に飢えているのね」

「グググ、きさま言葉に気をつけろ。俺たちはボアオーク、ここら一帯を支配するギャングだ」


 どうやら彼らはボアオークというオークの仲間らしい。以前であった緑色の肌をした森のオークや灰色の闇のオークの親戚だろう。牙が生えているという点は似ているがこちらはやはり獣人に近い気がする。


 セシリアは嫌そうに目を細めた後、すばやく地面を蹴りボアオークに接近する。一人が手にしていた斧を彼女に振り下ろすも横にすばやく避け、剣を差し込んだ。太い手首に赤い線が走り、たちまち血が噴出す。


「あああ゛、畜生!手首を切られた、血がとまんねぇ。アニキどうしよう」

「どけっこんな小娘一人に手こずって。情けねえ」


 前の男をどかし後ろから一回り大きなボアオークが出てきた。体にはいくつもの傷跡がある。持っている斧もひときわ大きく、取っ手には血のしみらしき汚れが見える。


 大柄なボアオークは一歩前に踏み出すとセシリアめがけて斧を振り下ろした。しかし彼女は読んでいたかのようにさっと避けわき腹に剣をつきたてた。そのまま横に引こうとしたとき刺さっている剣ごとつかまれてしまった。


「セシリアさん、危ない手を離してください!」


 フィリアナが叫ぶのと同時に斧を持った手がセシリアにつかみかかった。一瞬だが彼女がなにか迷ったように見えた。


「ふへへぇ、つかまえたぞ。さあどうしてやろうかな」


 両腕を掴まれたセシリアへいのししの顔が近づく。彼女は歯を食いしばり脱出しようともがいている。人質にとられてしまった以上うかつに手が出せなくなってしまった。なんとか彼女を手からはずせれば。


「仕方ないわね、あんた右のやつ、あたしとエレナーゼは左のに行くから。ヴェロニカ、起きてるんでしょあのでかいやつお願い」


 ニーナの指示を受けフィリアナとシャリン、エレナーゼは走り出した。まずエレナーゼが前方の敵に対し火の魔法を放った。ボアオークたちは慌てふためているが直撃はしなかった。


「ウゲッ、ハッ危ない当たるところだった。ハハァどこ狙ってるんだ」

「で、でも俺たち火に囲まれちまった」


 着弾した火の玉はたちまち敵の後ろで火の手を広げ始めた。

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