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第262話 苦難の旅

夜空を見上げながらこの世界について考えた

 翌日俺たちはケンタウロスに別れを告げこの先にある密林を目指すことにした。


「もう行くの?そうね、この先にずっと進んでいくと砂漠の終わりが見えてくる。前にも言ったとおり密林には何が潜んでいるのかわからないので十分注意して」


 ヴィーはそう言って俺に硬貨の入った小袋を手渡した。


「え、いいんですか?」

「これぐらいしかないけど、旅をするにはなにかとお金がかかるから。どっかのだれかさんがきちんとお礼をいわないからね。それじゃあ気をつけてね」


 相変わらず口をとがらせている一人を除き、群れのみんなが口々にありがとうと言い手を振ってくれた。コルと新しい友人のエスも手を振っている。


「じゃあねーまた来てねー」


 笑って手を振り返したがちょっと砂漠は戻ってきたくない。俺たちは再び荷車を押しながら広大な砂の海を進むこととなった。


 彼らと別れて一日中歩き続けたがいまだ木の一本も見えてこない。地図を広げて場所を確認する。


「もうすぐのはずなんだけど、ってかだいたい俺たちは今どこにいるんだ」


 焚き火に当てないように赤い光にかざす。なんの目印もないのでどこにいるのかすらわからない。


「この先をずっとってどれぐらいの時間なんでしょうね」


 お茶を飲みながらフィリアナが答える。次の町へすぐにでもつかないと水がなくなってしまう。密林を見つけたところで町があるとは限らないし受け入れてくれるかわからない。もしかしたら攻撃的かもしれない。みんな特に言葉にはしないが抱えている不安は同じだろう。


 特にセシリアの苛立ちが日に日にひどくなっていっている気がする。それはそうだこんなその日暮らしのような不安定な旅、だれだって怒るだろう。だが今は教えてもらった情報を信じてひたすら進むしかない。


 翌日、再び歩き続けた。話す言葉もなくなりこの砂漠のようにしんと静まり返っている。今までいたような動物の姿も見えない。自分の影を眺めながらひたすら荷車の背を押す。


「おい、アリスガワ前を見ろ」


 汗が顔を伝うのを感じながらゆっくりと顔を上げた。目のかすみと蜃気楼の揺らぎの中前方にぼんやりと緑色が見えてきた。ちょっとした茂みの後ろから木が少しずつ生えてきている。


「やっとつきましたね」


 額の汗をぬぐいながらフィリアナが振り返った。心なしかみんなの足取りも軽くなる。ついに目的の密林にまで到達した。砂が薄くなり木の根が現れ始める。早速車輪へと付け替え新しいエリアへと入っていった。

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