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第256話 潜む大サソリ 1

オアシスを目の前にして大サソリに遭遇してしまった

 まさかこんな怪物が潜んでいたなんて。みんなが驚いている中、先頭にいたコルの父親は愛用の斧を片手にサソリへと向かっていった。途中戻ってきた男の服をつかむ。


「おい!なに逃げてるんだよ、一歩先に歩くんじゃなかったのか?!」

「ヒッい、いや自分は一歩、いや二歩さがってついていきます~」


 父親は舌打ちをして男を離した。逃げた彼は群れの最後尾へと戻ってきた。一方、斧を片手に怪物へ向かっていった父親は勢いそのままサソリの脚へと刃をたたきつけた。メキッと言う音が聞こえ、少しへこんだようだが完全に刃が通ることはなくサソリの大きなハサミが彼を襲う。


 そこへ後ろから狩人の女が颯爽(さっそう)と現れ、脚の関節に矢を射る。うまいこと命中したが一瞬気をそらしただけだった。


「どうする今から場所を変えるか?」


 戻ってきた彼に狩人が声をかける。


「いやこいつを始末する。これ以上の移動はできない」


 そう言うと再び斧を持ち直した。だがあの二人だけではどうにもならないだろう。他にも戦える人がいそうだがみんな彼の指示を待っているようだ。


「これは困りましたね、わたくしたちも参加しましょう。このまま水が飲めなければ旅は続けられませんからね」


 フィリアナをはじめ、仲間たちは戦う気のようだ。これならなにか作戦を練らなければならない。見たところによると殻は結構固いようだ。それに動きもすばやい。細かな動作は苦手そうだがパワーはかなりある。止めを刺すにはフィリアナの持っている長い剣が必要になりそうだ。


「みんなちょっと待ってて私が先に行ってみる」


 エレナーゼが先陣を切ってサソリの前に飛び込んでいった。走りながら火の魔法をぶつける。サソリは両手を振り上げ混乱した様子だが、背中から煙があがっただけでそこまでダメージはうけていなさそうだ。火の耐性もあるのか、そうなると魔法も使えない。


「とりあえず俺とシャリン、ニーナであいつの気を散らしてみよう。その隙にフィリアナが止めを刺してほしい」


 俺たちは三手に分かれてサソリへと近づく。じりじりとにじり寄る標的に相手は困惑しているようだ。そこへ真正面からコルの父親が突撃してきた。まあなんとなくこうなるかと予想はできたが。サソリはハサミを振り上げ目の前にたたきつける。それをシャリンはすばやく避け、前脚の関節に短剣を突き刺した。


 俺はニーナとともに反対へ回る。この隙に俺も脚に傷を負わせよう。こうしてやっていけば大きな相手でも倒せるかもしれない。


 だがサソリはこちらを見ることはなく反対側の手でシャリンにつかみかかる。彼女は巨体の下にスライディングでもぐりこみそれを避けた。


 横に気をとられていたせいで気がつかなかった。俺たちをわずらわしく感じたサソリが長い尾を地面にたたきつけ、周囲をなぎはらう。ちょうど下から出てきたシャリンと俺はしなる尾に巻き込まれ吹き飛ばされた。

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