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第248話 砂漠の暴れ馬

ピヨに導かれ他のみんなと合流することができた

 俺の声にフィリアナたちが気づいた。さっさと父親を助け出しここから出なくてはならない。縄をかけられてしまった本人はというと、なんとそのまま護衛が騎乗している馬に体ごとつっこんだ。前脚をあげ体当たりを食らわせる。


 これには訓練されているはずの馬も驚き上に乗せている人を振り落としながら逃げ出した。彼は縄を力ずくではずすと再び斧を片手に乱暴に切りかかってゆく。もう片方の開いた手で無理やり人をひっつかんでは投げ飛ばす。一人なのにものすごい力だ。


 その間にフィリアナがこちらに駆け寄ってきた。


「ヒロさん、よかったですこちらも結構きびしい状況でした。彼は小さな斧を持って一人でこの町に戦いを挑んでいるんですよ。暴挙ですよ本当に、さあ行きますよお子さんは無事だそうです」


 彼女の呼びかけに彼は護衛の合間を縫ってこちらへと向かってきた。


「なんだお前は、関係ないならどこかへ行け!邪魔だ!」


 出会ってすぐの第一声がこれとは、かなり驚いた。礼を言われなくともまさか邪魔だと言われるなんて。これにはニーナも目を回す。


「あたしたちのときもそうだった。お前らはだれだー、ってね。助けてあげるって言ってるのに一人でどんどんいっちゃうの、話なんか聞きもしない」


 こんな話をしている今も彼は一人で暴れている。戦いというより不良の喧嘩のようだ。


「だーかーらーあんたの子供、こっちで預かってるって言ってるの!いつまでやってんの早くしなさいよ!」

「なんだとお前たちがさらっていったのか!」


 ニーナが手のひらを顔に当てた。フィリアナが面倒そうにため息をこぼす。


「ほら行きますよ、いつまでそうしているつもりですか?目的を果たす気がないならずっとそうしていてくれて結構です」


 三人は回れ右をして帰っていった。仕方がないので俺も後に続く。もう道がないと思ったのか父親、というより不良の男も俺たちの後についてきた。


 だが当然護衛もついてくる。しかも不運なことに出口の近くで先ほどの奴隷商人の仲間に鉢合わせしてしまった。退路を塞がれ逃げ道がない。裏路地へと逃げ込んでもただの時間稼ぎにしかならないだろう。


「困りましたね、とりあえずわたくしたちで道を作ります。ヒロさんはあの人をつれて出てください」


 不本意だが今はそうするとかない。と思ったそのとき後ろから父親が斧を振り回し突進して来た。俺たちはすんでのところで横に避けた。彼はそのままの勢いで前方の敵へと突っ込んでいく。


 そのうち一人が彼に向かって火を放った。きっと魔法だろう。だがそれにすらひるむことなくその魔術師につかみかかると力まかせに投げ飛ばした。続けて振り下ろされた斧に追っ手はたじろいでる。


「今のうちですね、この勢いで突破しましょう」


 フィリアナを先頭にニーナとヴェロニカも加勢する。俺はなんとか攻撃を避けながら命からがら町を脱出した。

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