第247話 性急な救出作戦 4
ローレンとシャリンの作戦により無事鍵を手に入れるも護衛に見つかってしまった
追っ手を振り切れるようがむしゃらに狭い裏路地へと逃げ込んだ。全く土地勘がないのでどちらへ進めばよいのかわからないがとりあえず距離を稼ぐため右へ左へ進路を変えつつ走り続ける。シャリンはついてきているがそういえばローレンの姿がない。
俺はいったん立ち止まって薄暗い通路を見渡した。どうやら今のところ追っ手はあきらめてくれているらしい。
「ローレン、ローレンはどうした?シャリン見なかったか?」
辺りを見渡しているとき突然目の前に黒い大きなものが落ちてきた。驚いて思わずしりもちをつきそうになってしまった。
「も、もう勝手に行くんだから。もう少しで迷子になるところだったじゃない。運よく道がつながってたけど」
「ごめん見つかったから咄嗟に逃げちゃった」
よくわからないが入り組んだ裏路地のおかげでローレンとなんとか再会することができた。あとは少年の父親を探すだけだ。ここからは見つからないよう裏道を様子を見ながら進むしかない。
音をなるべく立てないよう足元に注意し、警戒しつつ次の道へと移る。
「そういえばなんでシャリンあの時蛇を殺したんだ?いや、もう死んでいるやつだけどさ」
俺のささやき声にローレンが嬉しそうな表情を浮かべる。
「え、そ、それはね、途中でこれを見つけたからよ」
彼女が手に乗せ見せてきたものに大声がでそうになった。ね、ねずみの死体だ……。
「シャリンさんと話し合って急遽、予定を変更したの。蛇に驚いてる間に盗み出したのよ、なかなかおもしろい考えだと思わない?」
ローレンは怪しげに笑い満足そうだ。しばらくすると路地を抜け大通りへと出ることができた。相変わらず騒ぎのせいで閑散としている。しかしその分追っ手を見つけやすい。
だれもいないことを確認し通りを下っていく。先にこの少年を町から脱出させなくてはならない。突然どこからか俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
「ヒーロ、こっち、上だよ」
声に従い顔を上げると屋根の上にピヨがいた。置いてきたのについてきてしまったのか?彼女はふわりと俺の元へ降りてきた。
「救出作戦成功みたいだね、こっちに家族の人見つけたよ。今フィリーたちが敵に囲まれて大変なの」
わざわざ俺たちを呼びに来てくれたみたいだ。
「よし、シャリンとローレンこの子を任せた。俺は父親とみんなを呼んでくる」
先に荷物とともに待っているよう伝え、俺はピヨの後に続いた。彼女は低く飛びながら裏路地を伝い案内してくれている。
再び路地を抜け別の大通りに出るとそこには三人の姿とそれを囲む大勢の護衛がいた。その中に少年と同じ毛色をした男のケンタウロスを発見した。きっと彼が父親だろう。
父親は三人を振り切り単身で護衛の群れに突っ込むと斧を片手に暴れまわっている。そのうち一人に縄をかけられてしまった。俺はあわてて群集に近づき大声で叫んだ。
「みんな作戦は成功した。すぐに脱出しよう!」