第245話 性急な救出作戦 2
作戦を立てたところで家族が町に来ているという情報を受けた
騒ぎのせいか町は人が全くおらず静まり返っている。家族のほうは三人に任せ、俺とシャリンそれからローレンは少年が捕まっているテントのほうへ向かった。建物の影からそっと観察してみると数人の男がなにやら慌しく走り回っている。
「よし、あいつらに見つからずに助け出さなきゃな。まずは鍵を持っている男を見つけよう」
俺はローレンを待機させ移動式のテントと馬車が並ぶ見世物屋へシャリンと向かった。俺が奴隷商人と話し合ったテントを訪ねようとしたとき、走り回っていた男の一人に見つかってしまった。
「なんだ悪いが今は取引できない、帰ってくれ」
「あ、あの少しだけでも話をさせてもらえないですか?」
押し問答をしているとテントの中から奴隷商人の男が出てきた。
「あっあなたは。いやーちょうどよかった、今大変なことになっておりましてね、ささこちらへ」
都合の良いことになぜか彼は俺を中へと引き入れた。
「いやいやすいませんね、ただいまちょっとばかし問題が発生していまして」
「その問題とはなんですか?俺にできることがあるなら言ってください」
俺が笑顔を見せると男は待ってましたといわんばかりに護衛を申し出てきた。
「蛮族がうちの噂を聞きつけて強奪しにきています。そこでお客様、以前奴隷を多く持っていると言っていましたよね?そのうち護衛係はいますか?ぜひお願いしたいのですが、それにお客様も強そうですし」
「ええ、いいですよ。おい、仲間を呼んで来い」
俺はわざくらしくシャリンに命令した。彼女は黙ってテントからでていく。町にも護衛はいるし自分でも雇っているのにわざわざ俺に頼むなどよほど手放したくないのだろう。
「ちょっと座ってお茶でも飲んでいたらどうですか?心配いりませんよ俺がここで見張っていますから」
そう言って外をちらりと覗いた。その間に男はふぅと息を吐いて椅子にどかりと腰掛けた。外では相変わらず忙しそうに部下が走り回っている。ローレンは無事に忍び込めただろうか?
視線を男に戻すとテントの布の下から蛇が這って進入してくるのが見えた。だがうまく操縦できていないようで変な動きをしている。このままではコートにたどり着くまでに気づかれてしまう。蛇はくねくねとミミズみたいに体をくねらせながらゆっくりと近づいてきている。
「でも蛮族なんて物騒ですね、こんな砂漠にもいるんですねそんなものが」
俺は男の気をそらすため適当な話題を振った。
「ああ、困ったものですよ。そうだお客様もお座りください。立ったままではあれでしょうから」
言われるままテーブルをはさみ男の向かいの椅子に腰掛けた。蛇が気になるが変に視線を逸らしたら感づかれてしまう。そのときシャリンが帰ってきた。
「護衛に配置につくように命じました」
そう言って彼女は俺の後ろに立った。