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第238話 オアシスの町

前から気になっていたことについてフィリアナとニーナに聞いた

 翌朝、俺たちは引き続きなにもない砂の上を進むこととなった。そろそろ水も尽きてきたし食料も少ない。風に巻き上げられた砂埃のせいで常に口の中がジャリジャリとしている。


 無言のまましばらく歩き続けているとついに遠くのほうに町らしき建物が見え始めた。全体的に白く清潔感がありかなり居心地は良さそうだ。まだまだ距離はあるが自然と足取りは軽くなる。


 近づいてみると思っていたより大規模な町だということがわかる。白い外壁にぐるっと全体が囲まれており町の外にも露店やラクダを連れた人が行き来している。俺はみんなに少し離れた場所で待機してもらいシャリンとともに町へと入った。


 町中は綺麗に整備されとてもにぎわっている。さすがこんな砂漠のど真ん中で繁栄しているだけあっている人は皆金持ちそうだ。また旅行者も多い。市場にも周囲が砂漠だとは思えないほどの商品がところ狭しと並べられている。もちろん全体的に物価は高い。


 しかしそんな文句を言っている場合ではない。すばやく物資を補給してみんなのところに戻らなくてはならない。俺は水と果物をいくつか購入した。一度では持ち運びきれなさそうだ。


 一旦買ったものを持ってキャンプへと戻った。みんなは少しはずれの木が生えている場所に集まっていた。


「どうでしたか?なかなか綺麗そうな町ですけど」

「ピヨも行きたいなー」


 俺は運んでいた荷物を荷車に積み込んだ。これはなかなか骨が折れそうだ。


「ごめんなピヨは行けなさそうだ、フィリアナたちと一緒に待っててな」


 ピヨはつまらなそうな顔をしている。


「またピヨは置いてけぼり、ピヨたちだけ仲間はずれー」


 かわいそうだがこればかりはどうすることもできない。なるべく危険は避けなければならないからだ。


 俺は後ろ髪を引かれる思いで再び町へと戻った。退屈しているだろうからせめてなにか土産でも買って行ってやろう。そう思って市場を散策し始めたとき、妙に周囲が騒がしくなった。


 人々がどこかへと歩いて行く。なにか(もよお)しでもやっているのだろうか。


「ちょっと俺たちも見に行ってみる?みんなには悪いけどせっかくだしさ」

「そうだな、この場所について知るいい機会になるかもしれない」


 そういうわけで俺とシャリンは人の群れについていくことにした。噴水のある広場に大勢の人が集まっている。特設のステージが建てられまるでサーカスのようだ。


 舞台の袖から小太りの男がワインレッドのタキシードに身を包み杖を片手に上がって来た。


「さあさあ皆様お集まりください、お金持ちの方は前へ、前へ、遠慮せずに!」


 ちょっとした冗談に周囲から笑い声があがる。


「オホン、それではお待たせしました。砂漠のオアシスのお客様、ようこそ世にも珍しい珍獣オークションへ!」

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