第233話 焼ける大地
夜ローレンとちょっとした話をした
次の日俺たちは早朝に出発した。引き続き岩と少しの草が生える退屈な大地を進んでいく。地図で見たときから長旅になるとは思ったが、その絶極大地とやらは相当遠い。というか本当に到着できるのだろうか。
たしか海を渡った先にある大きな島だったが海どころか池すら見当たらない。
すると空を飛んでいたピヨがうれしそうに降りてきた。
「ねえねえ、ピヨお水発見したよ。あっちのほうに見えたの」
彼女が指す先には特になにも見えないがきっとあるのだろう。飲めるかどうかはわからないが行ってみる価値はありそうだ。
「あっち側に池があるみたいだ、そっちを目指して歩いていこう」
少し希望を持って歩き出したのはいいがすぐに太陽が昇り、辺りを燦々と照らし始めた。地面は熱せられた鉄板のように熱くなる。クーラーが恋しい、せめて冷えた飲み物が欲しい。いやもう日陰でいい、それすらないのだ。グリフォンにさらわれたときあんなに恋しかった地面が今は憎い。
ふと後ろを振り返るとエレナーゼが遅れを取っている。うなだれて足取りもおぼつかない。
「おい、大丈夫か?」
「え、大丈夫、ありがとう。だけど足が熱くて、指が火傷してしまいそう」
そういえば彼女は靴をはいていない。犬を真夏に散歩させると肉球を火傷してしまう、というニュースを見たことがある。だが体がライオンのエレナーゼに合う靴など持っていない。
仕方がないので近くにあった枯れ木の下で休むことにした。エレナーゼだけではない、長い尾をつけて歩いているニーナもつらそうだ。それに荷物を引いているフィリアナもだいぶ体力を削られている。いつもつけている甲冑を外しているがそれでも汗だくだ。
俺はもはやお湯になってしまった水を口に含んだ。全然のどは潤わないがないよりましだ。
みんながぐったりしている中、ポリーンがなにやらいそいそと作っている。
「はい、できました。エレナーゼさんのお靴です」
布と革で作られた簡素なものだがこれで火傷は防げそうだ。
「あらありがとう、靴ってなんだかちょっと変な感じね。でもはいていくわ」
エレナーゼはまるで無理やり靴をはかされたペットのようにぎこちない動きをしている。手袋をしているみたいでちょっとかわいい。なんて言ったらきっと機嫌を悪くするだろう。
日が沈むまで休みたいが水にも限りがあるため俺たちはピヨの見つけてくれた池を目指し歩を進めることにした。