第232話 自分の発見
メロン農家とデザードスケイル族に別れを告げた
焚き火の明かりでピヨとポリーン、それからローレンが本を読みながら楽しそうに話をしている。ここまで楽しそうにしているローレンは正直、旅に参加してから初めて見たような気がする。
「なんだか楽しそうだな、なにがおもしろいんだ」
俺が近づくとピヨがひみつーと笑顔を浮かべた。
「それじゃあね、ローレンまた明日ね」
そう言ってピヨとポリーンは自分の寝床へと帰っていった。残されたローレンはため息とともに本を閉じた。
「ピヨと仲良くなったみたいだな、読んであげてるのか?ありがとうな」
「え、ええまあそうね」
彼女は本を置いてしばらく静かに焚き火を見つめた。
「……あなたに以前言われたこと、ようやくわかった気がするわ」
俺が言ったこと?なにか重要なことを言っただろうか?
「お、覚えてない?別に全員と仲良くする必要なんてないって。そ、その意味、わ、私焦りすぎていたのかもしれない。もともと私、人付き合いが得意じゃないのよ、話し方もこんなんだし」
そういえば前に言った気がする。無理してみんなの輪に入る必要はないと。
「で、でもみんなは普通に、自然に友達ができている。当たり前みたいにね。両親は私を思ってもっと友達を作りなさいと言ってくれているって、頭ではわ、わかっていたの。だけど自分を認めてくれていないようで、まるで他の人より劣っているって感じて、よ、余計に偏屈になって」
「私ねこの旅に参加できてよかったと思っている、そりゃ初めはし、失敗したって思ったけどね。私は友達ができないんじゃない、人とは付き合い方が違うだけなの。そ、そう思ったら気持ちが楽になったわ」
ローレンは一通り言い終わると再びふう、とため息をついた。俺は彼女の隣に腰を下ろした。
「そうだよな、俺も子供の頃はそう感じてた。一人でいること、友達が少ないことは良くないって。だからそう思われたくなくて話したくもないやつと話したり、興味ない話題に乗ったりしたな。それで自分は普通だって安心していた。でもさ、今考えるとなんだか馬鹿みたいだよな」
先生や親の顔色をうかがって過ごしていた子供の頃を思い出した。だが大人になって思うことは人の付き合い方というのは人の数だけあるのだ。本当に難しいのは自分自身の気持ちに気づくことかもしれない。