第228話 空飛ぶ獅子、グリフォン 2
グリフォンにさらわれ巣へと運ばれてしまった二人
まずどうやってグリフォンを捕まえるかだ。今のところ考えつくのは巣の外側に隠れていて戻ってきたところで飛びつく作戦だ。だが飛び掛っていったときにも感じたが、彼らはとても動体視力が良い。俺の動きを読まれてしまう可能性がある。
それに飛びついて掴まったとしても振り落とされるかもしれない。
「なあ、なにかいい案はないか?使えそうな物とかさ」
俺は先ほどからこちらに背を向けている盗賊団の男に話しかけた。男はなにも返さない。
「そんなことしてたってなんの解決にもならないぞ、それともなんだ部下が来てくれるのを待つのか?」
「ではどうしろと言うのだ?まあいいほら縄だ、あとはナイフ、もうお前にやる」
不貞腐れている男から鞄を受け取った。中身は雑然としていて時計や統一感のないナイフが入っている。どれも古そうだが手入れがされていて結構使えそうだ。
とりあえず縄で罠を作りグリフォンが帰ってくるのを待つことにした。巣の中に輪を入れておき、それで脚をひっかけ飛び乗る。最悪落とされても命綱がある。縄のもう一方を自分の胴に巻きつけた。
投げ縄を設置し、巣の外へでた。一歩間違えば、はるか下の地面に真っ逆さまだ。
「おい早く、えっと団長も出て」
男は俺の呼びかけにしぶしぶついて来た。じっと待っているとやがて遠くのほうから大きな羽音が近づいてきた。口に半分になったヤギをくわえている。
親グリフォンが巣にえさを落とすと子供は目を覚まし置かれたヤギの肉を食べ始めた。少し俺たちを探すような動作をしたが特に気にはしていないようだ。子供が食べたと思ったのだろう。
しかしなかなか投げ縄に引っかからない。グリフォンは落ちている羽を外へ投げ捨て掃除をしている。あと少しなのにもどかしい、まだ行かないでくれと心の中で願う。
そのときグリフォンが一歩前に踏み出した。今だ……!俺は勢い良く縄を引いた。うまいこと脚に引っかかったが、俺たちの存在に気づきなんとこちらに向かって来た。
口を開け迫ってきたがそれを間一髪でかわし、首に飛びつくことができた。
「よしっ早く飛び乗れ!」
男も合わせてグリフォンの背に乗った。ちょっとしたパニックに陥った空飛ぶ獅子はそのまま巣を越え空へと飛び出した。もみくちゃになりながら地面へと急降下を始める。
こんなはずではなかった、まさか落ちていくなんて!俺の気持ちは露知らず、グリフォンは体に張り付いた敵をはがそうと躍起になっている。
どんどんと地面が近づいてくる。まるでものすごく怖いジェットコースーターに安全装置なしで乗っている気分だ。肺が圧迫され息ができず、胃の中がひっくり返りそうになる。このままだと俺たちはグリフォンもろとも肉片となって飛び散るだろう。
だがさすがに自分の置かれている状態に気づいたのか翼を広げ体勢を立て直し始めた。