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第227話 空飛ぶ獅子、グリフォン 1

盗賊団との話が収束しそうなときグリフォンに急襲をうけた

 突然現れたグリフォンに盗賊団はパニックになっている。一方グリフォンは散り散りになる標的に迷っているようだ。すごくかっこいいがじっと見ているわけにはいかない。俺たちもすぐに避難しなくては。


 小屋へ向かって走り出したとき後ろから子供の泣き声が聞こえてきた。カルベネが人質にした二人だ。ようやく目を覚ましたのか地面に座り込んで泣いている。


 そこへラッキーと言わんばかりにグリフォンが空から急降下してきた。助けるべきだろうか?だが間に合いそうも無い。すると横から盗賊団のリーダーの男が鷲の頭目掛けて飛び掛って行った。グリフォンは標的を変え今度は男に鋭い前脚を振りかざす。


 なんと男はそのまま掴まれてしまった。しかし今ならチャンスがある、獲物に夢中なグリフォンなら一撃を加え助け出せるかもしれない。俺は体の向きを変え短剣を腰から引き抜いた。


 心臓がバクバクと脈打ち、自分が興奮しているのがわかる。このまま一撃……!そのときまるで俺が来るのを知っていたかのようにグリフォンの目がギョロリとこちらを見た。ああ、まずいな、そう思ったときにはすでに遅くもう片方の前脚で鷲掴みにされるとそのまま空へと飛びあがった。


「あ、アリスガワーーー」


 シャリンが俺を呼ぶ声がすぐさま遠くなる。あっという間に地面は見えなくなり、俺と盗賊団のリーダーの男は空へとさらわれてしまった。


 グリフォンは俺たちを掴んだままどんどん高度をあげていく。今ここで短剣で反撃して落とされてしまっては逆効果なので目的地につくまでなにもせず、ぐったりとしておくことにした。しばらくすると大きな岩山が現れ、その頂上に木で作られた巣が見えてきた。きっとあそこに俺たちを持っていくつもりなのだろう。


 巣へとたどり着くとグリフォンは俺と盗賊団の男を巣に乱暴に放った。そして再びどこかへ飛んでいってしまった。巣が壊れないようにそっと起き上がる。相当高い場所なのか地面が雲に隠れて見えない。ここから岩をつたって降りていくのは危険そうだ。


 ふと振り返ると小さなグリフォンの子供が眠っている。どうやら俺たちは子供のえさとしてつれてこられたようだ。なんとか起きる前にここを脱出しないといかに子供といえど食べられてしまう。


 再び戻ってきたときに掴まって逃げるしかなさそうだ。そういえば盗賊団の男はどこに行ったのだろう。

 

 彼は巣の端のほうで横たわっていた。


「あの、大丈夫?」

「ハア全くなんてことだ、こんな目に合うなんてな」


 俺の問いかけに彼はため息で返した。そうだ彼は飛べるのだ、ため息をつきたいのはこちらのほうだ。


「親グリフォンが帰ってくる前に逃げたらどうですか?」

「そうできたらとっくにしている、翼が痛くて羽ばたけないんだよ。くそっ化け物が住んでいるならやめときゃよかった」


 悪態をつく男を横目に俺はどうやってグリフォンを捕まえようか考えた。

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