第226話 正当な取引
子供を人質にとり、盗賊たちと話をつけるべく待っていた
「うわーどうしよう、ついに来ちゃった」
来たら来たで大慌てしているイモンは放っておき俺たちは盗賊団を迎えるべく空を見上げた。かなりの数のハンターハーピーがものすごい勢いで向かってきている。
彼らは矢のように急降下し砂埃をあげ地面に着地した。イモンと会話した老けた男が先頭に立ちものすごい形相でこちらに歩いてきた。
「おい、お前たちだろう子供をさらっていたのは」
逃げ出したくなる足を無理やり動かし俺は一歩前に出た。
「そうだ、かえして……」
「この野郎!八つ裂きにしてくれる!」
俺の話を聞く間もなく後ろに従えている全員が今にも飛び掛らんとする勢いだ。
「ちょっと待ちなさいっておじさん、そこから動いたらあんたらのかわいい子供が痛い目に合うよ」
人質を抱えたカルベネの姿を見て、リーダの動きが止まる。
「くそっ卑怯な……!」
「卑怯?いやー冗談が上手なこと。返して欲しかったら水源を開放しな」
男の背後から非難の声が上がる。皆、子供を盾にすることを批判している。
「あのなあ、あんたらが勝手に水を止めたせいでこっちは迷惑してるの。実際に手は下してないかもしれない、でも水がないせいで大勢の子供がすでに死んでいるかもしれないんだ。そう考えたら二人は対価としては安くないか?」
カルベネの言葉にガヤは止んだ。これに盗賊団の男は悔しそうに歯をかみ締める。
「ぐっ仕方ない、撤退するとするか。さあ、さっさと子供を返せ」
「いや撤退するだけじゃだめだ、もう二度と盗みはしないと誓え」
俺はついでに条件を付け足した。また別のところで悪さをされても困るからだ。これにまた非難の声が上がる。じゃあどうやって生きていけばいいんだと文句を言っている。
「ええと、普通に働いてみたら?」
「なんだと、俺たちをおちょくっているのか?!」
当然ながら逆ギレされてしまった。とりあえず子供を返してここから立ち去ってもらおう。そのときふと何か大きな影が目の前を通った。その場にいた全員が空を見上げる。
大きな鷲、いや動物の体がついている。鳥の頭にライオンのような体の不思議な生き物だ。
「うっうわー今度はグリフォンが襲ってきた!すぐに建物に非難して!」
イモンが空を指して叫んだ。ああ、そうだそういえばそんなモンスターがいたような。グリフォンは上空で大きく旋回するとこちらに向かってきた。