第223話 毒入りのメロン 1
デザードスケイル族たちが持ってきてくれた酒を使って果実酒を作った
完全につぶれてしまったピヨとポリーンを寝かせ作業に戻った。ついて来てくれたデザードスケイル族の人たちは教えるとすぐに理解し、器用にメロンをくりぬいている。イモンの家族も総出で手伝ってくれたおかげで瓶の刺さったメロンがあっという間に出来上がった。あとはこのまま一日、二日待つだけだ。
作業を終えるとトカゲたちはさっさと帰ってしまった。一方イモンはなんだか調子がすぐれない様子だ。
「あーできたはいいけどこれを届けるのかぁ緊張するな」
「あらそれならわたくしが行きますよ、荷車を引くのは任せてください」
フィリアナの提案に彼は首を横に振った。
「いや僕が行くよ。ここまでやってくれたんだ、自分の家は自分で守るんだ。これでも僕は長男だから、頑張るよ」
ニーナに言われたからなのか、ともに作業を行ったからなのか問題に向き合う気になってきたようだ。
「でもついて来ては欲しいな、護衛として」
「しょうがないわね、泊めてもらったしいいわよ」
少し恥ずかしそうにしているイモンにニーナは満足そうに答えた。
それから俺たちは用意ができるまでしばらく農家の手伝いをしながら待つことにした。とは言ってもどんどん水はなくなりろくに作業にならない。イモンたちが食べるための果物すらついに底をついてしまった。
狭い小屋の中でローレンがため息をつく。
「ま、全く、のどが渇いて仕方ないわ。ね、ねえあの果実酒、またもらって来れない?」
「なに言ってんのよ、お酒は飲むほどのどが渇くのよ」
ニーナに言われローレンは部屋の端で口ごもっている。よどんだ空気のなかカルベネが勢い良く扉を開けて入ってきた。
「やあみなさん、ついにできたよ。さあさあ外へ出て」
メロンに刺さっていた瓶は空になっている。試しに一つ割ってみたが色も普通で、本当にすべて入ったのか不思議なくらいだ。味は見違えるように甘く、みずみずしい。
「すごいうまいな!」
「なぁーこれなら泥棒どももよろこんで食べるだろ?」
俺たちは早速できたものを荷車に乗せ、水源へと出発した。一緒に行くメンバーはフィリアナとニーナそれからシャリンだ。あまり大勢で行って作戦に感づかれてはいけないので最小限にした。
緊張しつつもついに大岩にまでたどりついた。遠くからでもハーピーたちがやかましく飛び交っているのが見える。
「よし、行って来るよ。君たちはそこにいて」
「はい、がんばってくださいね」
フィリアナに送り出されイモンはゆっくりと一人で盗賊団のいる水源に近づいていった。途中で心配そうに振り返る彼に、フィリアナは微笑みながら手を振る。
「あーいらいらする、早くしなさいよ」
「まあまあ、ニーナさんそんなに焦らないで」
隣でイラつき始めたニーナを手を振っていたフィリアナがなだめる。
「あの!すいません、話があるんですけど……」
入り口までやってきたイモンの呼びかけに一人のハンターハーピーが彼の前に降り立った。