第20話 ナーガプリンセス 3
侵入者としての誤解が解け、怪我をしたシャリンのためナーガ族の村へいくことになった三人
ナーガ族の少女に連れられて俺たちは村まで案内された。家は数本の柱の上に建てられており、高床式になっている。そして入り口へは階段の代わりにスロープが付けられている。
「母さんただいま、薬とか入ってる箱どこだっけ?」
室内は仕切りが無くハーピーの家とは対照的に机やいすなどの大きな家具も無い。部屋の奥には彼女の母親らしき女性が体を横たえながらかごを編んでいる。
「あらぁ~あなたまた何かやったのー?」
「こんにちは!おじゃまします!」
ピヨは元気よく挨拶をし、近くにあったラグに座った。その隣に支えていたシャリンをゆっくりと寝かせた。
俺はナーガの少女から薬箱を受け取りシャリンの手当てを行った。幸いにも骨が折れるほどの怪我にはならなかったようだ。時間とともに少しずつ状態が良くなってきている。
「ところでハーピーと猫泥棒はわかるわ、でもあんたはなんなの?」
少女は俺を見て眉をひそめた。
「俺は亜李須川 弘明、こっちはピオーネとシャリン。話すと長くなるからざっと説明すると俺は別の世界から転移してきたみたいなんだ」
「はぁ?あんたいかれてるの?」
まあその反応をされるのは当然だ。
「私もはじめはそう思ったんだがどうもこいつの着ていた服や知識からして本当の話みたいなんだ」
「ヒロがもとのおうちに帰れるように強い魔法使いを探すの」
少女は依然として疑いの目をこちらに向けている。
「ふーんなんか意味わかんないけど、とりあえずあたしはニーナよろしく。で、泥棒猫…じゃなくてシャリンはどこに向かってんの?」
シャリンは持っていた地図を広げニーナに見せた。
「なるほどあんた達もとは町の近くにいたのね」
地図をよく見るとシャリンが指差す先に大きな町が記されている。
「へえーどんな町なんだ?」
「人間が治めてる町よ」