第214話 岩場の盗賊団
メロン農家へ向かい水源について聞いた
遠くから見ていたせいか大岩までは思ったより距離があり、実際に近くで見るととんでもなく大きいことがわかる。
その洞窟からいくつか水路が引かれているが今は塞き止められほとんど干上がってしまっている。
そして入り口周辺には噂のギャングたちがたむろしていた。正体はハーピーの群れで見たところハンターハーピーに近い。以前出会った人より痩せて骨ばっているが、茶色の大きな翼に湾曲した爪は似ている。
違うところは服装と首回りに生えているファーのような羽だ。服はぼろ切れを繋ぎ合わせたようなもので、流行りなのか錆びた釘や歯車、鉄くずをアクセサリーとして身に付けている。
彼らは入り口辺りを飛び回っては、けたたましい笑い声をあげている。俺は恐る恐る声をかけてみた。
「あのーすいません、えっと責任者の方いますか?」
すると俺たちに気づいたのか動きを止め一斉にこちらを睨んできた。相当な数だ、ざっと見ただけで二十以上、洞窟の中にもっといると考えると少なくとも三十はいる。
その中から一人の男が目の前にドスンと降りてきた。
「何か御用ですか、お客さん」
「ちょっと水路を開放して欲しいんだけど」
俺の言葉に男はケタケタと卑しく笑った。
「いいかガキ、何か欲しいなら対価を支払わなきゃいけないんだ。これはこの世の理、みーんな知ってることだぜ」
ずうずうしい態度に後ろでニーナが怒りの声を上げる。
「対価ですって?あんた何いってんの、いいから早くどきなさいよ!町の人も農家もみんな迷惑してんのよ!それにここの水、あんたのじゃないでしょ」
「ハハァわかってないな、ここの土地だって初めは誰のものでもなかった、違うか?それをどこから来たのか勝手に住み始め自分のものだと主張してるだけだ。昔からいた?たからなんだ、今だって百年後には大昔さ」
ハンターハーピーの男は鉄くずの装飾品をジャラジャラと鳴らしながら近づいてくる。
「俺たちがなんと呼ばれてるか知ってるか?乾いた風さ、その名のとおり俺たちが通った後には草の根一つ残らない。この大地の砂になりたくなけりゃさっさと帰りな」
今にも飛び掛りそうなニーナをフィリアナがなだめる。この人数相手に戦うのはどう考えても無理がある。一度引き作戦を考え直すべきだ。
俺たちは仕方なく黙ってもと来た道を戻ることにした。去り際に背後からギャングどもの馬鹿にしたような笑い声が聞こえた。