第213話 困難な旅 2
次の町へとたどり着いたが水が入手困難な状態だった
店員の話によるとこの事態については果物を作っているメロン農家が良く知っているらしい。とりあえず高い水を少し購入し、みんなのいるキャンプへと戻った。
「お帰り、どうだった?って水は?これだけ?」
ボトルを二本だけ置いた俺にニーナが苦い顔をする。
「あんたねーこれじゃ一人一口じゃないの!」
すぐに町での出来事を伝えた。それを聞いた彼女は短くため息をもらす。
「今度は水ね、そんじゃさっさとそのギャングってやつをぶっ飛ばして水源を取り返しましょ」
ニーナに続き皆、続々と準備を始める。手始めにそのメロン農家に話を聞きにいってみることにした。
肝心の農家はここから東に少し行ったところにある。しばらく進むと乾いた大地に整備された畑が見えてきた。長いツル状の植物がびっしりと植えてある。
「あのーどなたかいますかー?」
俺の呼び掛けに数ある小屋の一つから人が出てきた。と言っても人間ではなく頭に角が生えたケンタウロスの男だ。
彼はこちらに気づくと申し訳なさそうに笑った。
「こんなところまで来てくれて悪いんだけど今売れる物がないんだ」
よく見るとケンタウロスではない。なぜなら下半身が馬ではなく鹿に近いからだ。ではサービタウロウという種族だろうか。それにしては鹿独特の華奢な感じが無く、また角も節があり山羊に近い。
俺は水源を乗っ取っているギャングについて聞いてみた。
「あーいや困っちゃうよね、本当にさ、おかげでこっちは大変だよ。だって水を全然くれないし、井戸からいちいち汲まなきゃいけないから」
どうやら生活するための井戸はあるようだ。だがこの畑いっぱいにとなると当然足りない。
「あのさ、あんたたちは何もしないわけ?」
俺の肩越しにニーナが質問する。
「そんなわけじゃないけど、ほら僕たちは戦うのは苦手でさ。もしかして君たち雇われた冒険者ってやつ?それなら早く追っ払ってよ」
「申し訳ないけど俺たち冒険者じゃなくて旅人なんだ。どうにかできるかわからないけど一応いってみるよ」
メロン農家の青年に水源の在処を聞き、次はそこへ向かうことにした。ちなみにキャンプにはローレンとセシリア、ヴェロニカを残してきた。荷物を見張っていてもらうためだ。
教えられた方向に進んで行くと遠くの方に大きな岩が見えてきた。まるで一部が削りとられたようにぽっかりと穴が空いている。その洞窟の中に水があるのだろう。
俺たちは早速水を取り返すべく大岩へと歩を進めた。