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第209話 蛇の威を借る鳥

子供が生まれたことをキンナラたちと共によろこんだ

翌日俺たちはキンナラたちに見送られ旅を再開した。目標は昨日教えてもらった別の町だ。ここからずっと行ったところにあるらしい。こんなにも抽象的なのはここらへんの人たちは正確な地図など使わず大体で生活しているからなのだろう。それともう整備された道などなく荒野が無秩序に広がっているだけだからというのもある。


 とにかくだだっ広いのだ。進むにつれて緑が少なくなり暑さが酷くなってゆく。服を脱ぎたいがそれでは直射日光で焼かれてしまう。そんなジレンマを頭の中でぐるぐるさせながら無言で足を動かす。


 しばらくして俺は荷車を引いているフィリアナが心配になり声をかけた。


「おいフィリアナ、大丈夫か?脚は平気なのか?」

「ええなんとか。蹄鉄をはめてもらってよかったです。硬い地面を長時間歩くことになりそうですから」


 彼女が引いている荷車は時折小さな岩に引っ掛かり苦しそうにきしむ。皆が静まる中、ピヨがあっ!と声をあげた。


 視線の先には小さい池のような水溜が広がっていた。その貴重な水にたくさんの鳥が群がっている。ピヨはそこへ向かって一目散に駆け出してしまった。


 鶴に似た鳥たちは侵入者の姿を確認すると頭をあげ警戒体制に入る。すると首の周りの羽をバッと広げゆらゆらと不思議な動きを始めた。予期せぬ行動にピヨも立ち止まり様子を(うかが)っている。


 首の周りの羽は鮮やかな赤やオレンジ色でまるで威嚇をするコブラのようだ。ついでにシューと蛇の音まで真似ている。


「あら不思議な鳥がいたものですね。ピヨちゃん危ないよ」


 遠くからフィリアナが声をかける。俺はとりあえず水が飲めるか見に行くことにした。


 池の水は古いものなのか濁っていてとても飲めそうには見えない。きっとこのなかで鳥もフンをしているだろう。


「もしかしたら危ないかもしれないから、近づきすぎるなよ」


 鳥とにらめっこをしているピヨを連れ戻し再び炎天下の中を歩き始めた。

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