表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

209/1157

第205話 別れの言葉

勇気を出してヴェロニカに喫煙時のマナーを正すようお願いした

 翌朝、俺はケンタウロスたちに別れを告げた。アーグナとヨーラをはじめ集落中の人たちが送りに来てくれた。


「もう行ってしまうのかい、寂しいな。」


 俺はアーグナと硬く握手を交わした。後ろでは助けてくれた少年が残念そうな声を上げている。


「泊めてくれてありがとうな、みんな元気で」

「お礼を言うのは私たちのほう、私を信じてくれてありがとう」


 そういえばあのときなぜヨーラだけ残っていたのだろうか。俺はてっきり他の仲間と共に逃げていたと思っていたが。それについて聞くと彼女は少し恥ずかしそうに笑った。


「あー他にも残っている人がいないか見ていたの。そうしたら二人がオオカミウマに襲われていて、めちゃくちゃにやっちゃった」

「あれはオオカミウマって言うのか、なるほど牙が生えているわけだ」


 アーグナは思い出したのか苦笑いを浮かべている。


「その名のとおり狼みたいな馬さ。ここらへんは乾季になると草も少なくなるしひどいときは水も干上がってしまう。体の大きな彼らはそれじゃ生きていけないだろ、だから時折狩りをしたり死体を食べたりするんだ。もともとの性質は臆病な馬だけど群れでいると襲ってきたりする」


 肉食の馬なんてよく捕まえたもんだ。俺なら絶対に近寄らないが。


「よっぽどひどい扱いをしていたのよ、かわいそうにあの雌たちは無事群れに帰れたかしら」


 ヨーラの言葉に俺は思わずえ?!と声を上げてしまった。あれで雌なのか……。


「えって雄はもっと大きいのよ。たてがみももっと生えてるし。まだ近くにいるかもしれないから気をつけてね」


 俺はシャリンと顔を見合わせた。彼女も俺と同じように嫌そうな顔をしている。


 そこへアーグナの父が現れた。まだふらついているが一人で立てるほどに回復している。


「やあもう行くのか、どうもありがとう。そうだ町へ行ってみてくれ俺の弟が指揮をとって再建しているらしいからな。旅の助けになるかもしれない」


 後ろのフィリアナがそれはいいですねと相槌を打つ。


「ぜひ行ってみますね。それではみなさんさようなら、わたくしみたいなよそ者を受け入れてくれてありがとうございました」


 ぺこりと丁寧なお辞儀をする彼女にアーグナが近寄る。


「君はよそ者じゃない、共に駆けたのなら僕たちは仲間だ。たとえ離れていても君の魂はいつも僕らとともにある。大地の精の加護がありますように」


 同胞からの言葉にフィリアナはうれしそうに微笑んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ