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第194話 開門

カルベネが武器庫を爆発させた隙に門へと向かうことにした

 俺は右往左往する人々の群れをかき分け門を目指し走った。


「ヤッハー最高だねー」


 横に並ぶようにしてカルベネが姿を現す。相変わらず能天気な彼女になんだか無性に腹が立ってきた。もし直前に忠告されていなかったら今頃は二人そろって爆発に巻き込まれていたところだ。


「最高だと?もう少しで死ぬところだったんだぞ!どうして先に言わずに行動するんだ!」


 大声で怒鳴る俺にカルベネはまあまあと手を前に出した。


「落ち着きなさいって、武器庫がだめになった今あいつらは牙の抜かれた犬同然だ。な、そうだろ?」


 まあ確かに彼女の言う通りでもある。半日かけてなんの手も打てずぐずぐずしていた俺のせいだ。現に門の近くで銃を構えていた護衛は火薬と弾がなくなったとわめいている。


「そりゃ私もやり過ぎたなとは思ってるけど。ま、とりあえず門開けにいきましょうよ」


 そう言うと彼女は地面をひょいひょい飛ぶように駆け出した。門の近くには沢山人がいたがまるで目的を見失ったアリのように混乱している。もちろん門の前に立ってわざわざ守っている人などはおらず今なら手が届きそうだ。


 冷静になって考えてみれば武器庫の爆発から内部に裏切り者がいると推理できそうだが、今それを叫んだところで気にもとめてもらえないだろう。


 俺はカルベネと二段になっているかんぬきの下段に手をかけた。力を合わせ横にずらす。


「おいお前ら何やってんだ!!」


 当然のことながら見つかってしまった。だがそれを無視し、上段にも手をかける。すると横から大きな手が俺の腕をぐいと掴んだ。首を動かすより前にそのまま掴まれ投げ飛ばされてしまった。


「お前らだな武器庫を爆破させたのは!」


 男は剣を抜きこちらへ歩み寄ってくる。カルベネも同じように数名の護衛に取り押さえられていた。


「あっいやーんどこ触ってんの、もうエッチ!」


 相手は地面に倒れ後退りする俺に大股で近寄ると襟首を掴んだ。負けじとその手を掴み返すがびくともしない。


 すると男の背後からシャリンが飛び付き肩に短剣を突き立てた。たまらずうめき声をあげ今度は彼女に掴みかかかろうと体をよじる。一瞬男の肩越しにシャリンと目が合った。


 俺はすぐに立ち上がると男を背に一直線に門へと向かい、かんぬきをがむしゃらに持ち上げた。完全には外れず片方だけ中途半端に金具にぶら下がっている。たちまち数人の護衛にもみくちゃにされ引き剥がされそうになるが、最後まで残ってやろうと門の端にしがみついた。


 しかし重い扉はわずかにずれただけで大きな門はどんどんと視界から遠ざかってゆく。

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