第187話 小さな糸口 1
キンナラたちに銃の説明をして対策を練った
ケンタウロスたちの集落へ戻るとニーナが丸太に腰掛け武器を磨いていた。
「おかえりどうだった?協力してくれるって?」
「向こうの準備が整い次第来てくれるって」
だがニーナは相変わらず不機嫌な顔をしている。
「あーそう、でどうすんの?こっちは数人の旅人と子供とおばさん。さぞかしキンナラは頼りになるみたいね」
「まあまあニーナさん、きっと道はあります。落ち着いて考えましょう」
フィリアナがなだめるも彼女は不服そうだ。そこへ手伝いを申し出た少年が両手に古びた武器を沢山かかえてやって来た。
「これお父さんのやつなの」
彼は剣のついたベルトを腰に巻くと満足そうにしている。少年の細い腰には大きさが合わずアンバランスだが本人はうれしそうだ。
「そうかありがとうな、ところでローレンはどこ行った?昨日から姿が見えないんだよな。セシリアはきっとテントの中だろうけど」
ニーナはあごでテントのほうを指した。裏側に回ってみるとなにやら木の板を合わせて自分の糸でぐるぐる巻きにしている。しかしうまくまとまらず、ばらばらに崩れてしまった。
「あ、う、うまくいかないわね、この、あ、あらら」
ぶつぶつとつぶやきながら頑張って何かを作ろうとしている。
「なに作ってるんだ?」
「あっ!ああ、あなただったの。驚かせないでちょうだいよ、こ、これはその、た、盾よ。まあまだできてないんだけど。その銃?がどれほどの威力かよくわ、わからないけど盾があれば守れるとお、思って」
木の板は古く大きさも厚さもばらばらだ。おそらくケンタウロスたちが捨てようとした廃材だろう。だが彼女のアイディアは悪くない。本当は鉄で作れれば良いがないよりはましだ。
するとさきほどの少年が後ろからやってきた。
「なにしてんの?あっちょっと待ってて」
彼は元気良く駆け出すと古びたハンマーとさびた釘を持ってきた。貸して!とローレンから板を取ると手早く縦と横に組み合わせ釘を打ち始めた。
「は、はあ、なかなか器用なものね」
「ここ押さえてて、そうだ石を下に敷いて」
ローレンは彼にいわれるままおずおずと板に手を添えた。少年は並べた四角いブロックの上に板を置き、手馴れた様子で釘を打ち、裏から飛び出た先端をたたいて潰した。みるみるうちに仕上がっていく。
飛び出た箇所をのこぎりで切り落とし大きな長方形の板が出来上がった。
「へえーすごいな得意なのか?」
「お父さんがやってたの」
俺は彼とともに盾作りを手伝うことにした。