第183話 作戦会議 1
キンナラの青年に馬の調教について話を聞いた
日が落ち始めた頃俺たちはケンタウロスの集落へと戻ってきた。皆相変わらずせわしなく動き回っている。こちらに気づいたヨーラが駆け寄ってきた。
「どうでしたか?」
「一応検討してくれるみたい」
彼女はそうですか、とほっとした表情を浮かべた。だが一体どれほど時間がかかるのかわからない。もしかしたらすでにケンタウロスたちが去った後になってしまうかもしれない。
俺はとりあえずみんなのもとへ戻り具体的な作戦を立てることにした。
「あっヒロアキとフィリアナ帰ってきたわよ」
ニーナの声にみんなが一斉に迎えに出てきた。
「アリスガワどうなった、協力者は得られたか?」
「うーんまだ決まって無いけど、今話し合ってもらってる。俺たちはその間に作戦を決めよう」
俺たちは焚き火を取り囲み座った。一番最初に口を開いたのはシャリンだった。
「それなのだが私は少し聞き込みを行った。どうやらケンタウロスたちが向かったときすでに門は閉められ、壁の隙間から攻撃してきたらしい。夜でも警備が常にいるということだ、真正面からでは厳しいだろう」
皆彼女の言葉にうなずく。次にニーナが話し始めた。
「あいつらが使ってた武器、こんな小さな鉄の玉を発射するやつみたい。一見弱そうだけどものすごいスピードらしいの、射程距離も弓ぐらいあるしね。あたしたちはそれをどうにかしないとまた同じになる」
ニーナはみんなにつぶれた弾を見せた。それぞれ手にとってまじまじと見つめている。カルベネがこれだろ、と言って顔の横でバーンと銃を撃つ真似をした。それでも他の仲間はあまりピンと来ていないようだ。
「それは銃だろ、まさかこの世界にはないと思ってたんだけど」
「お、兄さん知ってるの、さすがだねー」
みんなが一斉に俺のほうを見た。
「うむ私も古びた物を見たことはあったが錆付いていて何に使うのかさえわからなかった。お前の世界にはこれがあるのか?」
俺はシャリンからの質問に首を縦に振った。
「俺のいた世界には魔法が無いからみんなこれで戦うんだ。まあ昔は剣も使ってたし今でもあるけどほとんどがこれだよ。でも使ったことは無いんだ、俺の住んでいた国では禁止だったから」
「じゃああんたこれどうやって攻略するのよ」
おそらく銃は博物館でみたような古いタイプのものだろう。確か昔の銃は火薬が湿ると使えなかったし、弾詰まりもよくおきる。それに一度撃ったらリロードに時間がかかる。そうなると雨の日に攻撃を仕掛けるのがいいかもしれない。だが果たして雨が降るまで待つほど時間があるだろうか。
「よし、まずは二手に分かれよう。前方から攻撃を仕掛けて誘導する組とあらかじめ進入して中から扉を開ける組だ。だけどきっとあいつらも射程距離がわかってるし、こっちがぎりぎりで攻撃しなければ援軍を呼ぶ時間を作ってしまう」
ピヨは援軍てなに?と首を傾げている。
「あそこには冒険者ギルドがあって強そうなやつがたくさんいたんだ。きっとそいつらも攻撃してくる」
「あーもーなんなのよ!それじゃあ全然勝ち目無いじゃない!ってかなんで助けてあげようとしている当の本人たちは無関心なのよ!頭にきた」
ニーナは立ち上がってずかずかと集落の中央へと進んでいってしまった。