第178話 残念な結果 3
突然移動をすると言い出したタッドに反抗し残ると言ったヨーラ
去っていくタッドの後ろをフィリアナが追いかけた。
「待ってください、このまま移動を決行するつもりですか?怪我をしている人もいるのにどこへ?」
「河の上流だ」
それだけ言うとまた歩き出した。
「下見もしないで?どんな場所かもわからないで、大した距離移動できるとは思えませんが。それに野生の動物もいますよ。戦えるだけの人数がいないのにどうするのですか?」
「よそ者、知ったように口を利くな」
睨み付けるタッドにフィリアナは怯まず続ける。
「ふふ、いい気分でしょうね。邪魔だった長とその息子まで運良く始末できたんですから。移動して新しく自分だけの群れを始めればいい」
「なんだと!人間の靴など履きおって、養殖もんが口出しをするな!」
そう言うと彼はずかずかとどこかへ行ってしまった。俺たちは一度みんなのところへ戻った。
「アリスガワ、他のケンタウロスたちが移動の準備を始めている。私たちも急ごう」
荷物を片手にシャリンが話しかけてきた。俺は浮かない気持ちで相槌を打った。皆いそいそと支度をする中フィリアナが武器を手にとって腰に巻いた。
「申し訳ありませんがわたくしはここに残ります。ヨーラさんとともに囚われた人を助け出すつもりです。偽善だと言うならそれでも結構です、わたくしは種の誇りをかけて戦います。みなさんは先に進んでください」
彼女が話しているのを皆黙って聞いていた。反対していたセシリアは話が終わると再び支度を始めた。
「ピヨも協力するよ!仲間でしょ」
「私も頑張りますーあんまり力にならないけど」
ピヨとポリーンは笑顔で答えた。隣で荷物を手にしていたシャリンがこちらを見た。
「お前はどうする」
「俺ももちろん手伝うよ、ヨーラと約束したしな」
シャリンはそうか、と一言返事をした。
「あたしも手伝わないわけにはいかないじゃない!そこのサテュロスあんたも仲間でしょ!」
ニーナがそろりと抜け出そうとしていたカルベネに声をかける。
「ええー、私もかぁ、じゃ姉さんも仲間だよな。助けるって言ったし」
カルベネはテントの中で寝てるヴェロニカに声をかけた。すると中からエレナーゼが姿を現した。
「でもどうするつもりなの?この人数じゃ無理よ」
「これからキンナラっていう種族の元へ行こうと思う」
やはり聞きなれないのか皆、不思議そうに顔を見合わせている。