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第177話 残念な結果 2

一人で助けに行こうとするヨーラを引き留め一緒に作戦を考えることを提案した亜李須川

 どうするか考えるとは言ったもののこの人数ではどうすることもできない。


「他に仲間になってくれそうな人たちはいないのかな」

「うーんどうでしょうここらへんに住んでいるといえばキンナラたちですが。彼らはあまり戦いを望みませんから」


 とりあえずそのキンナラという種族に話を聞くべきだろう。どういう姿か想像ができないが戦いを望まないのなら比較的温和なのだろう。


 次の日一緒にキンナラたちのもとへ向かうことを約束し、ヨーラは帰っていった。


 翌朝、なぜか集落が再び騒がしくなった。皆一様にいそいそと支度をしている。俺はフィリアナと共にヨーラのもとへと向かった。


「おはようございます、どうしたのですか?」

「あっ旅人さん大変なんです。私たちはここから離れることになってしまいました」


 突然のことに俺とフィリアナはえ?!と声をあげた。


「これまたどうして突然……だって怪我人はどうするんだよ。移動ってどこへ?」


 彼女も不安そうな顔をしている。


「私もわからないんです昨日急に移動が決まって。でもこんなのおかしいですだって無理やりすぎる」

「ヨーラ話してないで早く支度しなさい、荷物は最低限にしてね」


 後ろから彼女の母親が声をかけてきた。


「ちょっと待ってよお母さん私まだ移動したくない」

「何言ってるのここは危険だってタッドさんが言ってたでしょ、さ、早くしてね」


 おそらくタッドの命令なのだろう。だがどう見てもこれは賢明な判断だとは言えない。そこへ不機嫌な顔をした当の本人が現れた。


「何をしてるすぐに出発するぞ」

「待ってください、まだ離れたくないんです。捕まっている人もいるのに」


 ヨーラはすがるように彼へ懇願した。だがタッドは顔色を変えない。


「ここは危険だすぐにでも人間どもが攻撃してくる。もう一度戦いになれば俺たちは全滅だ」


 母親がヨーラの腕を引いて戻るように促す。しかし彼女はそれを振り切った。


「いや、私はここに残る!まだ捕まってる人がいるのに私たちだけ逃げるの?今こうしている間もずっと私たちが来るのを待っているかもしれないのに!」

「ヨーラいい加減にしなさい、これは決まったことなのよ」


「死にたくなければさっさと支度することだな」


 タッドは冷たく言い放つと背を向けた。


「私は、私はあなたが群れの長なんて認めない!勝手に突撃して今度は見捨てていくの?」


 その言葉に彼は振り返り目を細めた。


「ヨーラなんてことを言うの!すいませんこの子ちょっと気が動転してて」


 彼は何も言わずその場から立ち去った。

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