第176話 残念な結果 1
戦いにて鉄砲が使用されたことを知った
仲間が捕まったことを聞いたヨーラはその場で涙を流している。少女の背をフィリアナがやさしくさすった。しばらくすると彼女は泣き止み目をごしごしとこすった。
「ごめんなさいね旅人さんにこんな姿見せちゃって。私がしっかりしなきゃいけないのに」
「いえ、今は休んだほうがいいですよ」
フィリアナは疲れきった様子のヨーラをテントへと送っていった。
「それにしても大変なことになっちゃったねー、私たちもそろそろ出たほうがいいんじゃない?」
酒瓶を片手にカルベネが話し始めた。シャリンやニーナは仕方ないといった様にうなずいている。
「そうねぇ残念だけど町一つ相手にあたしたちもどうすることもできないし」
ニーナの言うとおりどうにかしてあげたいのは山々だがこの人数で町一つを相手にはできない。ヴェロニカに夜忍び込んでもらうことも考えたが囚われている人が全員逃げ出せるとは思えない。
とりあえず必要な物資をもう少しそろえてからでよう、ということになったがフィリアナは浮かない表情だ。
日が落ちる頃ヨーラが俺たちのもとへやってきた。すっきりとしているがどこか疲れた顔をしている。
「みなさんごめんなさい迷惑かけました」
「いや大丈夫なのか?」
彼女は複雑そうな笑顔を浮かべている。
「なあなあなあ、そのアーグナ君とはどんな関係なの?もしかしてこれ?」
カルベネがヨーラの腰に手を回し小指を立てた。
「おいやめろカルベネ失礼だぞ」
「ふふ、いいんです。彼とは幼馴染です。でも私にとっては兄のような存在でいつも私の手を引いて歩いてくれました。他の歳の近い子供たちの中でも彼は一際賢くて優しくて、憧れのような存在です」
ふーんと興味を無くしたカルベネに変わりフィリアナが素敵ですねと答えた。
「はいだから私、彼を助けに行こうと思います。みんな反対するでしょうがこの群れには彼が必要なんです」
思い出すような優しい笑顔から険しい表情へと変わる。
「ちょっ、ちょっと待ちなさいよあんた一人で行く気?絶対無理よ!」
ニーナの言葉にみんなそうだそうだと口にする。
「第一行ってどうするのよ、門を叩いて返してくださいとでも言うの?」
「無理なのは承知です。でも私がやらなきゃだれもやりませんから」
確かにあれだけ痛手を負ってもう一度行こうとする人はそうそういないだろう。
「とりあえず行くのは少し待ってくれ、なにか手が無いか考えて見よう」
俺はこれ以上犠牲がでないよう彼女に待つように説得した。