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第173話 開拓者の町 3

新しくできた町の冒険者ギルドを訪れケンタウロスがターゲットになっていることを知った二人

 これは想像より深刻な事態かもしれない、早く手を打たなければ被害者が出るのは目に見えている。


「アリスガワどうする?一旦戻って報告するか?」

「いや、アーグナのお父さんを探してからにしよう」


 彼の父親がどこにいるのかわからなければ報告しても助けることができない。もし人を捕まえておくとしたら牢屋だろう。俺たちは町を一周しながら探ることにした。


 町はそこまで広くはなく小さな市場と宿屋、それから馬小屋があった。俺はシャリンとともに大きな厩舎(きゅうしゃ)を見つめた。前には木で作られた柵があり、その中を馬に乗った人が歩いている。


 柵の上に乗り指示をしていた男の一人が俺たちに気づいた。


「あ?なんだ冒険者か、馬借りに来たのか?」

「い、いや違うんだけど様子を見に来ただけ。俺たちここに来たばかりだから」


 男はふーんと興味なさそうにまた柵の中を見つめた。すると隣にいた別の男がふざけ半分で俺たちに話しかけてきた。


「おいあっちの小屋のぞいて見ろよ、あそこの柵の向こうだ」


 俺たちは言われたとおり厩舎の横の小屋にかかっていたかんぬきをはずし中に入った。後ろからは止めとけよーという男の声が聞こえる。


 中は暗く鬱蒼(うっそう)としている。扉を開けて光を入れるとそこに誰かが座っているのが見えた。茶色の馬体に同じ色の髪、ケンタウロスの男だ。彼はこちらに気づくとうっすらと目を開けた。


「もしかしてあなたがアーグナのお父さんですか?」

「き、君は?なぜ俺の息子の名前を知っている?」


 顔はげっそりと痩せ体にはいくつもの痛々しい跡ができている。それに加え動けないよう縄で手と脚を縛られている。俺は彼が父親を探していることを伝えた。


「そうか……アーグナには悪いことをしたな。みんなは無事なようだが、長として情け無い、いや、今は違うな。頼む皆に逃げるよう伝えてくれ、ここのやつらは俺たちを人だと思っていない」

「わかりました、必ず伝えます」


 俺は持っていた水とわずかな食料を与え、小屋を後にした。


「へへへ、どうだった?びひっただろー?噛み付かれなかったか?」


 外へ出ると先ほどの男が俺たちを茶化しにやってきた。


「え、ええすごく怖かったです。あんなのと戦うなんて、自分には無理ですねー」

「お前それじゃ冒険者できねーぞー、まあ頑張れや、死なない程度になー」


 男は笑った後また柵のところへ戻っていった。

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