第172話 開拓者の町 2
群の長であるアーグナの父が人間たちに捕まってしまったことを知った
次の日俺はシャリンと二人でアーグナの言っていた新しい町へ行ってみることにした。町は集落からは離れていたが歩いて昼前には到着することができた。
木で作られた高い壁に囲まれており大勢の人がひっきりなしに出入りしている。町中はまだ建設中といった様子で皆せわしなく働いている。
「うわーなんかすごいな、どこから見ようか?」
「あそこはどうだ?冒険者ギルドだ」
シャリンの指す先には盾と剣の書かれた看板が吊るされている建物が見える。中に入るとここもまた大勢の人でごった返していた。
「初めて来たな、これが例の冒険者っていうやつか」
「うむ、皆いち早く名声を上げようと必死になっているのだろう」
俺はみっともなくきょろきょろと辺りを見渡した。背中に大きな剣を背負った人や杖を持った人、テーブルで酒を飲む人などさまざまだ。顔に傷があったり、怪しげなローブを着ていたりとまるでゲームの中に入ったような感覚になる。
とりあえず二人で受付にまで行ってみた。座っている女性は俺たちの姿を見るとにっこりと笑った。
「いらっしゃいませ、新規のご登録ですか?」
「えっと、俺たち今来たばっかりなんだけど」
「そうですか、以前どこかのギルドに所属されていましたか?」
彼女はなれた様子で分厚い帳簿をめくり始めた。
「いや、私たちはここが初めてだ。冒険者について少し教えて欲しいんだか」
シャリンが慣れていない俺に代わって答えてくれた。
「あっそうでしたか、ランクがあるのはご存知ですか?他で実績があれば途中から始めることも可能ですが、お二人の場合ですとブロンズからのスタートになります。こちらのランクは受けられる依頼に影響します。あちらの掲示板でご確認ください」
そう言って彼女は横にある大きな掲示板を指した。さまざまな張り紙が貼ってある。
「うむそうか、ありがとう。もう少し準備を整えてからまた来ることにしよう」
「はい、ぜひお待ちしています。あっ外へ出る際は気をつけてくださいね、ここの近くにはケンタウロスが出現するらしいので」
受付の女の言葉に俺たちは足を止めた。
「ケンタウロスはかなり手ごわいと聞きましたので、そこに依頼もでていますが十分気をつけてお過ごしください」
掲示板を見るとケンタウロス討伐の依頼が張り出されている。生け捕りにした場合は報奨金に加え、買取金も支払われると書かれている。
俺たちはお礼をして冒険者ギルドを後にした。