第15話 出発の準備 3
シャリンとともに旅に出る約束をし、おばあさんの家で休ませてもらうことにした
翌日俺は朝早くおばあさんの家を出た。正直に言うともう少し寝ていたかった、いやあと半日は寝ていたかった。冒険になんて行きたくないし安全なこの村でのんびり過ごしたかった。全身筋肉痛だし……。
だがいつまでもお世話になっているわけにはいかないし、なにより早くもとの世界に帰らなくてはならない。
家を出た先にピヨの姉と兄が待っていた。
「あなたにはいろいろ助けてもらったわ、もう行くんですってね。これを持って行って」
姉は俺に大きな鞄を手渡した。中には荷物がたくさん詰まっている。
「着替えと寝袋、それから少しの食料やろうそくその他必要そうなものを集めたの。完璧じゃないけどないよりましだと思って」
「それと新しい服と靴を用意した、その服はきっちりとしたつくりだが運動には向かない」
俺は兄から服と靴を受け取り大急ぎで建物の影で着替えた。服はハーピー用なのかノースリーブだがスーツに比べれば百倍ましだ。それに靴も柔らかい布と革で作られており歩きやすい。
「これも一応持って行きなさい。この先、全く無防備ではこまるだろう」
ピヨの兄は羽飾りのついた短剣を手渡して来た。ここは俺の住んでいた世界とは違う。なにが起こるかわからない。使わないことを願おう。
「ありがとうございます!足が痛くて仕方なかったんだんですよ。靴ずれを起こすところだった」
「それはよかった、その靴は盗賊どもから拝借したものだ。では早く行ってくれピヨが目を覚ます前にな」
それもそうだと俺は二人に礼を言い、早々と村の入り口に向かった。
「うむ約束どおりに来たな、私はシャリンだ改めてよろしく人間」
「俺は亜李須川 弘明だ」
俺たちは簡単な自己紹介をし、村を後にした。
「そういえばあのピヨとかいうハーピーはどうした?」
「ああ、あいつは村に置いて来た」
そう言ったとき空から声が聞こえた。
「もーピヨを置いていくなんてひどいよー」