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第165話 デジャヴ

タルヴェルにうんざりさせられたフィリアナとシャリン

 翌日俺たちは足早に宿を出た。もう少し休んでいてもよかったが、カルベネがさっさとこの町から離れたいと言ったので仕方なく荷物をまとめた。


 早朝の町をこっそり抜けようとしたところ、まるで待っていたかのようにタルヴェルに出会った。


「うっわ……」


 カルベネを始めフィリアナとシャリンは嫌そうな表情を浮かべる。


「やあ、おはようもう行くのかい?まあそんなことだろうと思ったからさ」

「お前に話す事はもう何も無い」


 さっさと通り過ぎようとするカルベネを彼は引き止めた。


「ちょっと待ってくれ、なあ君に再開してからずっと君のことが頭から離れないんだ。どんなに素敵な(ひと)時間(とき)を共にしていてもね」

「きっしょ」


 カルベネは掴まれていた服の裾をピッと引っ張った。


「君がなぜこの旅に同行しているのかも、その目的も僕にはわからない。でももし無事に旅を終えたのならそのときはまた村に戻ってきて欲しい。次に再び会うときは君に顔向けできるほどの男になって待ってるよ」


 彼女はタルヴェルの言葉を無視しそのまま歩いて行ってしまった。


「あたしこれどこかでみたことあるなぁー」


 ニーナからの視線にフィリアナはうんざりとした顔をしている。フィリアナは何も言わずカルベネに続いた。


 またも恋に破れた男の傍を黙ってみんなが通り過ぎていく。失礼な話だがなぜそこまでカルベネに執着するのか俺にはわからない。他にも素敵な女の子は沢山いるはずなのに。


「なあ、悪いこと言わないから違う女の子にしたらどうだ?って言うか鼻を折られるところだったんだぞ、そんな乱暴な人でいいのか?」


 俺はやり遂げた顔をしているタルヴェルに話しかけた。


「あんな風に僕に対してはっきり物を言った人はいままでいなかった、刺激的だ……。ところで他にもかわいい仲間がたくさんいたな、今度紹介してくれないか?大丈夫、ちょっと話をするだけだよ」


 俺は話しかけたことを後悔しつつその場を後にした。

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