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第162話 歩くレディーキラー 1

強化魔法についてエレナーゼにきいた亜李須川、そして目的の町へと到着した

 俺は町を下見するついででヴェロニカについて行くことにした。そしてなぜかカルベネもついてきた。


「なんで来るんだよ」

「いやーだって兄さん一人じゃ絶対襲われると思って。夜はこわーいチンピラどもがうようよしてるかもしれないだろ?」


 どうせ酒場に行こうとしているに違いない。


「なんでもいいけど勝手にどこかにいくなよ」


 しばらくヴェロニカの後を追うと町の入り口が見えてきた。二人の護衛が門を守っている。怪しまれたりしないだろうか。


 そんなことを考えていると前を歩いていたヴェロニカは門を通らずに横の森へと入っていった。とたんに月明かりが届かなくなり足元がおぼつかなくなる。転びそうになりながらなんとかついて行くと、彼女は町を囲っている壁の近くで足を止めた。


 そこには古びた石段があり地下へと続いている。この先になにかあるとは思えない、もしあったとしても下水道か町の地下にある使われていない通路ぐらいだろう。


 ヴェロニカは暗がりへと続く階段を降り、その先にある木の扉に手をかけた。


 恐る恐る中へと入るとそこは想像とは違い落ち着いた雰囲気のバーだった。オレンジ色のろうそくの明かりにシンプルなカウンター、客はあまりいないようだ。


「ちょっと待ってろ話をつけてくる」


 そう言うとヴェロニカはカウンターのほうへ歩いていった。隣ではまるで好物を目の前にした犬のようなカルベネが目を輝かせている。


「だめだぞ遊びに来たんじゃないんだからな」

「ええーっちょっとだけ、ちょっとだけだから、さきっちょだけ」


 絶対に信用できないと思っているとなぜか彼女の表情が険しいものへと変わっていった。


「どうした?なにかあるのか?って待て勝手に行くな」


 カルベネは俺のことを無視してテーブルの客へと近づいていった。彼女の視線の先には同じサテュロス族であろう男が座っている。彼女は男に近づくと低い声で話しかけた。


「おい、お前がここで何をしている」


 男は彼女の存在に気づくと立ち上がり笑顔を向けた。


「やあーカルベネじゃないかー君こそ何してるんだい?奇遇だねこんなところで会うなんてさ、もしかして僕に会いに来てくれたのかな?」


 長くて綺麗な角に茶色い髪、切れ長の目と筋の通った鼻、女性向けの恋愛ゲームにでてきそうな正統派のイケメンだ。


「うるせえさっさと消えな、お前に居場所なんて無い」


 なぜかカルベネはこのイケメンを嫌っているようだ。普段の彼女からは想像できないような渋い顔をしている。


 そこへ知り合いと話をつけてきたヴェロニカが戻ってきた。


「宿は取れた。いい場所じゃないが無いよりはましだろ」


 これを聞いたカルベネは無言でバーから立ち去ろうとする。そんな彼女の手首をイケメンの彼が掴んだ。


「なあ待ってくれよちょっと話をしないか?少しだけ、お酒もおごるからさ」


 カルベネは掴まれた手首をバッと引くと俺と一緒にならいいと言った。

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