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第153話 裁きの鉄槌

劣勢になり一人で逃げ出したキーガ

 やはりこいつはただでは諦めなかった。隙をうかがい反撃するチャンスを待っていたのだ。だがその動きは完全に読まれていたようで、虚しくもフィリアナに地面へと叩き返された。


 切りつれられた翼からは血が垂れ、地面に赤い水滴が落ちる。


「この際だから言っておきますがあなたが傷つけたのは女の人だけではありません。あなたの仲間や家族、友好的な関係を築き上げてきたほかの種族の人たちも含まれています。意味わかりますか?」


 フィリアナの言葉をキーガは息を荒げて聞いている。


「よ、ようするに他人には優しくしろってこと、か?」


 彼の的外れな答えにニーナは肩を落とした。


「だめねこの馬鹿はどうしようもないみたい、一回死んでも……いや死んでも治らない、か」


 ふらふらと息を切らし下がっていくキーガはついに崖で足を滑らせた。なんとかすんでのところで掴まっている。


「ハッ、ハッ、な、なあ本当に反省してる、今後は馬車馬のように働く、嘘じゃない!」


 まさに崖っぷちな彼に皆、顔を見合わせる。


「うーんどうしましょう、ピヨちゃんどうする?」


 フィリアナの言葉を背にピヨがぶら下がっているキーガのもとへ近づいていく。


「お、おい俺たちは同じハーピーだろ?頼む助けてくれ、頭を踏みつけたことは謝るから」

「どうしようかなぁー」


 ピヨはさも考えてますというように翼をあごに当てた。


「なあ?同族としてさぁ……」

「同じハーピーかぁ、でもピヨあなたと友達嫌だから、ばいばい」


 そう言うとピヨは足でキーガを突き落とした。わあーという叫び声の後、ドスンという音が聞こえてきた。


「はあーすっきりしましたわ。死んでない、ですよね?」

「あの馬鹿が死ぬわけ無いでしょ。さ、さっさと帰りましょ」


 ニーナは剣をしまうと早速来た道を戻っていった。俺の後ろではカルベネが笑い声をもらしている。


「ククク、ドスンだってよこりゃ傑作だな。いい土産話ができたってもんよ。あいつ生きてるかな」

「さあねどうでしょう、それよりやることが山積みよ」


 エレナーゼの言うとおり大変なのは後始末なのだ。


「えーこういうのは兄さんに任せるべきでしょ、私は祝杯の用意をしてくる!」


 彼女は馬を走らせ帰って行った。俺は仕方なくエレナーゼと二人、徒歩で帰路についた。

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