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第152話 反撃の牙 3

イヴァンが止めにはいった隙にダークハーピーの女に再び攻撃を仕掛けられたキーガ

 弱っているキーガを前にチャンスとばかりにフィリアナをはじめ、次々に仲間が襲いかかっていく。その様子に気を取られた彼にエレナーゼがものすごい速さで駆け寄り、翼についていた防具に爪を立てた。熱で歪んでいた防具を引き剥がされキーガは体勢を崩す。


「あ゛あ゛、畜生!なんだって言うんだ、おい護衛どもさっさとこいつらを始末しろ!」


 キーガの怒号だけが村に響く。


「あなたはもう終わりです、観念しなさい!」


 フィリアナが剣を構えて彼ににじり寄る。するとなんとキーガはボロボロになった翼を広げその場から飛び立ってしまった。


「あっちょっとあいつ逃げ出したわよ、ほんとありえない!!」


 短剣を握り締め怒るニーナにフィリアナはすぐに追いかけようと声をかける。シャリンはフィリアナの背に(またが)ると三人は後を追って駆け出してしまった。そのすぐ後ろをピヨが飛んでいく。


「あ、ちょっと、置いていかれてしまった……」


 完全に出遅れた俺を置いて先に行ってしまった。まあついて行った所で自分はあまり役に立たないのでそこまで支障はないが。


 俺と同じように残されたポリーンが近づいてきた。


「ヒロアキさんはみなさんの後に続いてください。私はここに残って怪我の手当てを手伝います」


 とは言ってもな……と思ったとき後ろから蹄の音が聞こえてきた。


「兄さん早く乗りな、追いかけるぞ」


 カルベネがどこから連れて来たのか裸の馬に跨っている。捕まっている人を助けたときに進入した動物小屋だろう。俺は二人の助けを借りてなんとか後ろに乗ることができた。カルベネの掛け声とともに馬は駆け出す。


 しばらく進むと道の真ん中で追い詰められているキーガの姿を発見した。彼にとって不幸にも道の片側には木が生えておらず、そのまま崖になっている。


「あらあなたたちも来たのね」


 下を見るとエレナーゼがこちらを見上げている。


「ああっ兄さんそんなにぎゅっとしたら、あん、苦しい……背中に硬いもの当たってる……」


 オーディエンスがいるとわかったとたん、ふざけだしたカルベネを無視して俺は馬から下りた。その間にもキーガはじりじりと崖に追い詰められている。


「わ、わかった俺の負けだ、な、ちょっと武器を下ろして話し合おう。もう今後一切女に乱暴しないと誓おう、いかに女の人が尊いかよーくわかった。だからなぁ、今回は見逃してくれないか?」


 初め見たときとはまるで別人のように威厳と恐ろしさは消えてしまった。今はまるで小銭をせびる乞食のようにみすぼらしい。


「はぁ呆れました、なにもわかっていないようですね別にあなたに崇められなくても結構ですわ」

「本当に申し訳ないと思っている、一生をかけて罪を償う、だれだって過ちは犯すだろう?」


 彼は黒こげになった翼をすり合わせ姿勢を低くしてフィリアナに近づいていく。なんだか悪い予感がする。俺が忠告の言葉を口にする前にキーガは残っていた片方の刃を構え、彼女に飛び掛っていった。


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