第148話 鳥の王、ハンターハーピー族 4
仲間の助力により捕虜の一部を解放することに成功した
カルベネの助けもありなんとか全員を小屋から助け出すことができた。少女も無事母親と会うことができたようだ。だが彼女の顔色はまだよくない。
「父がいないんです、捕まるとき引き離されてしまいました」
俺はとりあえず母親と一緒に避難するように促した。そこへフィリアナとニーナ、シャリンが駆け寄って来た。
「怪我を負った人を助けましたがこれではキリがありません」
「どうやら直接原因を叩くしかないみたいね」
ニーナの視線の先には一際体の大きなハンターハーピーが立っている。いかにも自分がボスだ、というような風貌だ。おそらくあいつがキーガだろう。
俺たちが捕虜を逃がしているのがばれ始めたのか兵士の一人が恐る恐る何かを報告している。するとキーガは激怒し兵士に掴みかかるとそのまま乱暴に投げ飛ばした。
投げた部下をそのままにし、彼は村の中央へと堂々と歩みを進める。
「おいダルコーいるんだろう?隠れてないででてこい!それとも太陽の光が怖くて外へでられないのか?」
村の中央で誰かに大声で呼び掛けている。
呼びかけに応じたのか奥の日陰から大柄なダークハーピーの男が姿を表した。風貌からして彼がこの村の長だろう。
「やっと出てきたか、一人で逃げたのかと思ったよ」
「お前が何を考えているのかはわからないがすぐにここを去れ」
ダークハーピーの長は低い声で牽制する。しかしキーガは意に介さずヘラヘラと笑みを浮かべている。
「まさか計画がばれていないと思ったのか?お前が送ったあの女、俺に喜んで抱かれた後アホ面さらして死んでいったぞ。どうした敵をとらなくていいのか?」
さすがにこれには頭に来たのかダルコーは黒いフードをかぶり光のもとへと出ていった。周囲の仲間がそれを止めようとしている。
ダルコーは剣を抜くとキーガに向かって飛びかかって行った。
「ハハハそうこなくてはな!」
笑い声をあげるとキーガも翼についた刃を構え応戦する。
金属どうしがぶつかり合う甲高い音が村中に響いた。それぞれのリーダーどうしの対決を皆じっと見守っている。ダルコーの一撃をキーガは両翼で受け止めた。
「なんだぁこんなものか、これだったらもっと早くに攻撃を仕掛けていればよかった」
「その汚ならしい口を閉じろクソガキめ」
フードの影から怒りに燃えた深紅の瞳がちらついた。カタカタと鉄でできた防具が音を立てる。
「ハッ、言っていろ」
キーガはにやりと笑うと相手の腹を蹴飛ばした。衝撃でダルコーの体が後ろに飛ばされそうになるがなんと、そのまま掴みかかり鉄の爪を立て横に引き裂いた。
倒れたダルコーに仲間のダークハーピーたちが駆け寄る。腹部にはまるでナイフでえぐられたような跡が残り、傷口からは血が滲み出している。
地面に跪く相手の姿を見てキーガは口の端をつり上げた。
「見たかカラスども、この俺こそが鳥の王だ!」