第147話 鳥の王、ハンターハーピー族 3
ポリーンのおかげで小屋の一つから人質を救出することに成功した
助け出した少女を連れ再び人が監禁されていそうな小屋を探す。すると突然上から怒鳴り声が聞こえてきた。
「おい!そこで何をしている!」
見上げると屋根の上から兵士の一人がこちらを見下ろしている。隠れて行動していたのがついに見つかってしまった。
俺はピヨとポリーンに少女を連れ先に行くよう伝えた。屋根の上のハンターハーピーは今にも飛びかかろうと翼につけた刃を構える。だが相手が体をかがめたとき、グッと苦しげな声をあげ屋根の後ろへと倒れていった。
ドサリという音とともにセシリアが顔をのぞかせる。
「なにしてんの早く行って!」
俺は彼女に促され、軽く礼をして先を急いだ。少し行ったところにまた同じように門番に守られている大きな小屋を見つけた。
今度はどうやら動物小屋のようだ。中からは馬が鳴いている声が聞こえる。
裏口は鎖で閉められ表はかんぬきで施錠されている。先ほどのように火を放つか……でもそうなると人だけではなく動物も逃がさなくてはならなくなる。
「どうだ?穴があけられそうなところはあるか?」
「うーんちょっと難しいです、あ!あそこ窓があります」
ポリーンの差す先には換気用につけられた窓が見えた。だがそこまで中の人が上れるだろうか。
「あー兄さんそんなところにいたのか」
そこにどこからかふらりとカルベネが姿を現した。
「ここに捕まってる人を助けたいんだけどみんなあの窓からでられるかな」
「んーあれかぁ紐がいるな、ちょっと待ってな行ってくるから」
そう言うと彼女は近くに放置されていた荷車に足をかけひょいと窓に飛び移った。
しばらくすると小さな窓から子供が出てきた。俺は降りてきた人たちを次々に受け止め避難するように伝えた。だがそんな様子を感じ取ったのか門番がこちらに気づいてしまった。
「おいダークハーピーどもが逃げだしてるぞ早くこっちに来い!」
兵士の一人が俺を止めるためこちらに向かって走ってきた。俺は抱きかかえていた子供を逃がしすぐに剣に手をかける。ラグビー選手のような相手に俺が一秒でも持つとは思えないが、せめてピヨたちのために隙は作れるだろう。
そのとき横から一匹の野良犬が飛び出し兵士の足に噛み付いた。
「なんだこいつ、離れろ!くそっこの、きったねえ、え?うわ!!腐ってやがる、ああああ!」
男に噛み付いた野良犬はところどころ汚らしく毛皮が禿げ、肉がはがれた頭部には蛆がわいている。遅れて様子を見に来た別の兵士もその異常な光景を目にして逃げ出してしまった。
「おい待て!これ取ってくれよ、ちくしょう!」
「こっちに来るな、ゾンビだ、感染してる、お、俺はゾンビになりたくない!」
踏みつけて死体をはがそうとするも脚の皮がずるりとはずれるだけでぶらぶらとぶらさがっている。だれがやっているのかわかるが今は救出活動に専念することにした。