第13話 出発の準備 1
盗賊の少女と話す亜李須川、転移魔法によるものだと聞く
彼女の話によればこの世界には魔法が存在し、転移すなわちワープをすることができるほど強い魔力を持った魔術師がいるらしい。
「じゃあ俺がここに転移されてしまったということか」
「おそらくな、その白い猫がやったのかはわからないが」
そうとなれば俺は白い猫か転移魔法を使えるほどの魔術師に会う必要がある。
「強い魔術師、そういえば闇のオークが魔術を使うと言っていたな」
「確かにやつらならできるかもしれないだが行ってどうなるかはわからないぞ」
彼女の言うとおり会いに行ったところで願いを聞き入れてもらえる可能性などない、最悪命をとられてしまうかもしれない。
「だがここにいても何も解決しないように思うんだ。もしよければ俺も一緒に行っていいか?」
「そうだなこの村にいれば安全だが強い魔術師に会うのは難しいだろう」
明日の朝村の入り口で待ち合わせる約束をし、女と別れた。
その間待たされていたピヨは遅い!と怒っている。
「悪い、悪い、行こうか」
「ピヨも冒険行く!ヒロと冒険行きたいー」
なんとなくそう言い出すと思っていた。俺がやんわり断ろうと思ったそのとき
「あんたまた馬鹿なこと言って!これ以上みんなに迷惑かける気?!」
こちらの様子を伺っていたのかピヨの姉が止めに入る。
「ピヨも行きたいよー」
「だめっ!いい加減にしなさい!絶対にだめなんだからね!」
姉はぐずるピヨの頭を叩いた。
「いたっうえーピヨも行くもん!」
ピヨは半べそをかきながらおばあさんの家へと走って行ってしまった。
あの、俺の案内は……。仕方ないのでピヨが走って行った方向へ歩みを進めた。