第144話 急襲 2
暗殺者の女が殺され、すでにハンターハーピーが進撃を開始していることを告げられた一行
報告を受けた俺はすぐに村長へとそのことを伝えると、彼は大慌てで村人を避難させた。
「どうする私たちも避難するか?」
シャリンをはじめ皆真剣な表情で互いを見合っている。
「私はこんな場所さっさと出て行くべきだと思うけど」
セシリアが部屋の端でぼそりとつぶやいた。ローレンはあれからフードをより深く被り気まずそうにしている。
俺も彼女の言うとおりすぐに避難すべきだと思う。だが助けてくれたダークハーピーの女のことを考えると申し訳なくなってくる。彼女は今頃攻撃されそうになっていることも知らずぐっすりと眠っているのだろう。そういえばまだ名前も聞いていなかった。
「アリスガワどう思う?」
シャリンの言葉にみんな一斉に俺のほうを見た。
「そうだな、みんなは避難してくれ。俺は助けてくれたダークハーピーの女の人のところに行って来るよ。まあどこに住んでるかわからないけど」
俺の答えにセシリアは眉間のしわを深めた。
「ではわたくしも一緒に行きます、お世話になりましたから」
そう言うとフィリアナは早速仕度を始めた。それに続きシャリンとニーナも動き出す。
「いや俺だけでいいんだけどな」
「はぁ?あんた一人で死に行くつもり?まったくこうなると思ってた」
ニーナはめんどくさそうにしながらもフィリアナの後に続いた。
「ピヨも行く!今回は一緒がいい!」
「私もいきますー待ってください」
ピヨが立ち上がるとポリーンもそれに続いた。結局セシリアとローレンを除くほとんどのメンバーがついてきてくれた。
「急ごうハンターハーピーがどれだけ速く移動してるのかわからないからな」
俺たちは村長に村の場所を聞き、ダークハーピーの女のもとへ向かった。
鬱蒼と茂る森を抜けたどり着いた先では予想以上に状況は悪かった。すでにハンターハーピーたちはたどり着いており、寝込みを襲われたダークハーピーたちはパニックに陥っている。
彼らの村はフラワーハーピーの開けた明るい感じとは違い、全体的に暗く高い木によって日の光が遮られている箇所が多くある。
「大変ですわ、これじゃあ彼女を見つけるどころではありませんね」
フィリアナの言うとおり自警団が立ち合っているが力の差は歴然だ。次々に人が倒れていく。俺は今にも走り出しそうなニーナを止めた。
「待て!今正面から向かっていってもだめだと思う、まずは怪我をした人を安全な場所に運ぼう」
「確かにそうね、私とフィリアナはあっちから回るからあんたたちは反対側お願い」
俺たちはその場で別れ、端のほうから気づかれないように戦場へと近寄った。