第143話 急襲 1
不機嫌になってしまったローレンと話をした亜李須川
自分の言いたいことだけを一通り言って帰ってきてしまったが今さらになって恥ずかしくなってきた。もしかして本当に風呂に入れなかったり、虫が嫌なだけだったのかもしれない。
その後夕食の時間になったがローレンとセシリアは姿を見せなかった。
次の日、俺が鶏にえさをあげていると突然ガシャーンとカルベネが小屋の金網を揺らした。ぼーっとしていた俺はもちろん、鶏たちも驚き小屋中を駆け巡っている。
「おいなんだよ驚かすな、かわいそうだろ」
「ハンターハーピーの兄ちゃん来てるぞ、なんでもあんたとパイオツねーさんに会いたいんだと、早急に」
パイオツねーさんとはフィリアナのことだろう。俺は手を止めてフィリアナを探し、彼の元へと向かった。彼は俺たちの姿を見ると息をあげて駆け寄ってきた。
「あら、どうしましたか?リリーさんには会いましたか?」
「い、いやまだなんだ、まだ勇気がなくて……それどころじゃなくて大変なんだ!今日は君たちに会いに着たんだ」
俺は彼に一度落ち着くように伝えた。 は大きく息を吸った後再び口を開いた。
「前に話したダークハーピーの女いただろ?あいつが死んだんだ、噂によると殺されたらしい」
「なんですって?!どうして!」
フィリアナは口元に手を当てて驚いている。確か彼女は腕のいい暗殺者だったはず。まさか体の関係を求められ絶望したのか?いやそんなはずはない、むしろそれを武器にするはずだ。
だとしたら考えられる答えは一つ、すでに計画がばれていたということだ。殺される前に殺してしまったのだろう。だが表向きは親睦のため、そうなるとダークハーピー側が黙ってはいない。
「そ、それで二人とも落ち着いて聞いて欲しい。ハンターハーピーたちがダークハーピーの村へ進撃を始めたんだ、すぐに避難してくれこの村の人と一緒に」
さらなる事実にフィリアナは言葉を失っている。たしかダークハーピーは夜目が見えると言っていた、だから昼間に攻めるほうが有利になると考えてのことだろう。
「もとからこうする予定だったのか……とりあえずみんなに伝えよう、それからダークハーピーたちにも警告しなくちゃな」
「そんなのんきなこと言ってる場合じゃない!もしも村に到着したら日が沈むまでだってもたない」
彼は息を荒げ俺に詰め寄った。ハンターハーピーはそんなに強いのだろうか。しかし青年の目は決して嘘を言っているようには見えない。
「ダークハーピーは日の光に弱いんだ、彼らは日中寝ている」
ここで俺はやっとこんなにも焦っている理由を理解した。眠っている彼らに警告などできるはずがないのだ。