第141話 気難しい二人 1
ダークハーピーの女との賭けに勝った亜李須川と三人
俺たちは約束どおり話を聞くため焚き火の元に戻ってきた。
「それでなんだっけ?赤い髪の女だ?」
「そうです、赤い髪の細身で背の高い女の人です。なにか知っていますか?」
ダークハーピーの女は小さくなった焚き火でタバコに火をつけた。
「そいつは赤髪のエルだ。表向きは族長専属の護衛だが実際はお抱えの暗殺者ってわけだ、相当腕は立つみたいだけどな。そんでもって愛人さ」
「愛人て、付き合ってるんですか?」
「いや正式な妻がいる、だが結婚は形式上のもんだ。お互い恋人がいる」
要するにダークハーピーの長は自分の愛人兼、暗殺者を送り込んだということだ。やはりただ黙って言うことを聞いているわけがない。
「ところでお前らはなんの集まりなんだ?」
「俺たちはダークエルフの後を追っています、えっといろいろあって……」
俺が答えをすべて返す前に彼女は興味なさそうに森の中に消えてしまった。
「まあ、三人ともありがとうなおかげでなんとかうまくいった」
「もう心配しましたよ、途中本当に殺されてしまうのではないかとひやひやしました。でも勇敢で素敵でしたよ」
フィリアナの言葉にシャリンは小さくうなずいた。
「まったく自分から聞いてきたくせに、帰りましょあたし疲れちゃったわ」
ニーナの言うとおり気が抜けてきたらだんだんと体が重くなってきた。俺たちは来た道を早歩きで戻った。
次の日、昨晩の出来事をみんなに伝えた。すると俺の話を聞き、セシリアはスッと立ち上がった。
「そう、ならよかったじゃない事件は解決ね。お互いに同時討ちしておしまい、捕まってた人も帰ってくる。さ、さっさと出る準備をしましょう」
部屋を出て行こうとするセシリアをフィリアナが急いで引き止めた。
「ちょっ、ちょっと待ってください。確かにそうですがもう少し様子を見てみませんか?このままでは両者の間で戦いが起きてしまいます。そうすればこの村の人たちも巻き込まれてしまうかもしれません」
「だからなに?私たちは別に各地の問題を解決して回るのが目的じゃないでしょ」
セシリアの反論にフィリアナは言葉をなくしている。
「そ、そうよ、こんなところ早く出るべきよ。そ、それに戦いが起こったらわ、私たちまで巻き込まれるじゃない」
ローレンもセシリアに賛同するように意見する。
「私はここの人たちを助けたいです!せっかく頑張って調べたのに最後まで見届けたいんです」
ここで意外にもポリーンが声を上げた。
「はぁ?な、なにいってんよ、あなた一番戦えないじゃない!ど、どうしてみんなそんな平然としてるのよ、お、おかしいんじゃないの?!い、いままでだって十分危険だったのよ、も、もうこれ以上耐えられないわ!」
そう言うと彼女は部屋を出て行ってしまった。セシリアは呆れたような表情を浮かべ同じくその場から立ち去った。