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第139話 危ない橋 2

運良く再びダークハーピーの女と出会うことができた

「まさか本当に来るなんてな、二人を起こしてくる」


 シャリンは寝ている二人の下へ歩き出した。


「小僧がこんなところで何している、まさかとは思うが……しけこんでたのか?」

「俺は亜李須川(ありすがわ) 弘明(ひろあき)、あなたに会いに来ました。ハンターハーピーの長、キーガについて知っていますか?つい最近あなたの仲間の一人がそいつの元へと行きました。それについて聞きたいんです」


 すると女はめんどくさそうにタバコを口にくわえた。


「しらねーよさっさと帰って寝な」


 そのままもと来た道を帰っていこうとする。


「待ってください!お願いしますフラワーハーピーの村が大変なことになっているんです。それにあなたも遅かれ早かれ巻き込まれる可能性があるんですよ」

「だからなんだ私の知ったことじゃねぇ」


 女は背中を向けたまま去っていく。フィリアナが慌てて後を追いかける。


「ちょっと、知ったことじゃないってダークハーピーも関係してるんですよ。キーガは女の人をさらっているんです!あなたも例外じゃないんですよ、それに自分の仲間じゃないですか」

「だから知らねぇって言ってんだろ、村のやつらがどうなろうが私には関係ない」


 断固として協力する気はなさそうだ。以前助けてくれたのはただの気まぐれだったのだろうか。


 だがここで引き下がるわけにはいかない。このチャンスを逃せば次いつ巡ってくるかわからないからだ。俺は彼女の行く手を阻むように前に立ち塞がった。


「お願いします、沢山の人が傷ついているんです。俺の質問に一つ答えてくれればいいんです、髪の赤い……」


 女は言いかけている最中に無視して横を通り過ぎようとする。俺はまけじとまた前に回りこんだ。


「髪の赤い女の人を知っていますか?背は高くて、グッ」


 しつこい俺に頭にきたのか襟首をグイとつかまれ引き寄せられた。背は俺と同じぐらいで眉間にしわを寄せかなり威圧感がある。


「おいクソガキよく聞け、私は自分の種族のことや女どものことなんざどーでもいいんだよ、わかったらさっさとそこの雌犬どもをつれて消えな」

 

 燃えるような赤紫色の目と吸血鬼のような鋭い犬歯をちらつかせこちらを威嚇してくる。近くで三人が警戒態勢を取っているのがわかる。


 なにか一言、言ったのならすぐにでものど元に噛み付かれそうな勢いだ。自然とのどの筋肉が引きつり声が出せなくなる。しかし俺は今一度深く呼吸をし、再び口を開いた。


「いや俺は消えない、あなたから質問の答えを聞くまでここから動かない」


 女は一度ギリッと歯を鳴らしたが少ししてフーと俺の顔に煙を吹きかけた。俺は咳き込みたいのを我慢して女のほうをじっと見つめた。


「いい根性してるじゃねえか、その質問とやらに答えてやるよ。ただし条件がある、私を暗闇の中で捕まえることができたらな」


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