第136話 ピヨの師匠
逃げてきたリリーに話を聞くことができた
日も傾いてきたので俺たちも泊まっている部屋へと戻った。
俺はベッドに腰掛けた。部屋の端のほう、ベッドの壁の間でピヨが座っているのが見えた。
「そんなせまいところでなにしてんだ?本読むならもっと明るいところで読まないと目悪くなるぞ」
「うん、でもピヨみんなに迷惑かけちゃうから」
以前失敗したことを心配しているらしい。
「それに、ピヨ魔法苦手だからその、みんなに笑われちゃうと思って……」
おそらくエレナーゼに言われたことを気にしているのだろう。気にするなと声をかけようとしたときニーナが後ろから身を乗り出した。
「なにあんたそんなこと気にしてるわけ?」
「う、うん……」
「まー確かにあんた魔法の才能なさそうだし、でもそれとこれは関係ないでしょ!」
ピヨは首をかしげている。
「よーするに魔法ができないからってこそこそする必要ある?!強くなりたいんでしょ、なら堂々としてなさいよ!それに一回失敗したからってなによ!失敗しないで強くなれるやつなんている?」
ピヨはぶるぶると頭を振った。
「才能はもとからあるもんじゃなくて磨くもんなの!ヒヨッ子のあんたがまともに戦えるよう訓練してあげる。あんたの魔法について考えがあるの」
しばらくぽかんとしていたがにっこり笑うとやるー、と元気良く返事をした。
「それでその考えってなんだ?」
「あんたの魔法はほんの一瞬爆発を起こすだけ、回数も限られていてぶっちゃけ攻撃には向いてない」
ピヨはうんうんとまじめな顔をして聞いている。
「だから防御に使うの、カウンターっていうのかしら。ちょうど相手が攻撃してきたところではじき返すの。だけどこれはすごく難しいわついてこれる?」
「ピヨ頑張ります!」
ピッと背を伸ばすと二人は外へ出て行った。