第129話 予想外の出来事
道を間違えダークハーピーの男に絡まれていたところ、同じ種族の女に助けてもらった
次の日俺たちは昨日ダークハーピーの女に言われたとおり少し進み、そこで右へと曲がった。
「それにしてもあんな恐ろしい人たちが居るなんて思ってもいませんでしたわ」
「ええ、気持ち悪すぎて全身の鱗が剥がれ落ちるかと思った」
フィリアナとニーナが昨日のことについて話している。名前からしてダークエルフや闇のオークと近い種族なのだろうか。
遠回りをしてしまったせいかなかなか村は見えてこない。仕方がないので一旦休憩を取ることにした。
夜だけではなく昼でも襲ってくる可能性はある。そこで俺は短剣を下ろさずに腰につけたまま辺りを警戒しつつ食事をとった。
すると突然近くで爆発音が聞こえた。咄嗟に音のするほうを振り返るとフィリアナの引いていた荷車に火が点いている。近くではピヨとポリーンが慌てた様子でうろうろとしている。
「危ないから下がれ!」
俺は二人を遠ざけ持っていた水筒の水をかけた。それでも火は収まらずシャリンも同じく水をかけ、あとはマントで鎮火した。不幸中の幸いにも荷車はそれほど燃えてはおらず、積んであった寝袋や服に引火しただけだった。
「あ、あのごめんなさいピヨが魔法を失敗しちゃって」
どうやら先ほどの爆発音の犯人はピヨだったようだ。ピヨは申し訳なさそうに頭を下げた。
「まったく、次やるときはバケツに水汲んどきなさいよね」
「次?!次ですって?!」
後ろから突然ローレンがニーナの言葉に対し大きな声を上げた。皆いきなりのことにびくりと肩を上げた。発言した本人であるニーナが一番驚いている。
「そっそうよ、私なにか変なこと言った?」
「こ、今回は運良く大事にはい、至らなかったけど、も、もし荷物が燃えてたらどうするのよ!この先なにがあるのかわからないのに、い、今だって道に迷ってるしいつ襲われるかわからないじゃない!」
ローレンは半分パニックになっているようだった。
「それに魔法の才能がないって言われてたじゃない、もう、これ以上も、問題を起こさないでよ!」
「ちょっとなによその言い方!あんたに何がわかるっていうの、その、えっと自分ではそんなつもりじゃなくても結構人って傷つくものだったりするから……」
ニーナの話を待たずにローレンは行ってしまった。俺はてっきりいつもの調子で言い返すのかと思っていたので今はそこに驚いている。
「えっと……あーーもうやっぱりむかつくわ、なんなのよあの態度!」
すぐにいつものニーナに戻ったが、みんなも俺と同じように少し驚いた表情を浮かべていた。