第127話 夜に生きるダークハーピー族 1
ピヨの好奇心によりちょっとしたハプニングが起こってしまった
早朝からスライムに襲撃されたおがけで皆服を一枚ずつ失った。元凶であるピヨはニーナにげんこつを食らわされた。
「うえぇ、知らなかったんだよー」
「まったくあんたのおかげでえらい目にあったわ」
頭にできたたんこぶを撫でながら涙目になるピヨとともに俺たちは森の中を進む。しかし、だんだんと道が細くなり岩と木の根が多い悪路へと変わっていった。
フィリアナが荷車を引いているためこの状況はよくない。そのうえいつまでたっても村は見えず、日が暮れてもなおたどり着く気配は無かった。
「もしかして俺たち道に迷ったのか」
「うむ、その可能性があるな。コンパスは随時確認しているが土地勘の無い森の中では仕方が無い。今日はここで休もう」
シャリンの言うとおり下手に動いても余計に迷うばかりだ。明日ピヨに空から見てもらおう。
俺たちは腰を落ち着ける場所を探し、火を灯した。ピヨとポリーンはスタンレイにもらったクッキーを食べている。夕食のためソーセージを焼こうとしていたそのとき隣にいたシャリンが耳を立て突然立ち上がった。ただならぬ様子に皆、警戒態勢に入る。
「どうしたんだ?」
「向こうのほうにだれかいる」
シャリンの指す方を見たが焚き火の明かりが届くのはほんの足元だけで、そこから先はただ一面に闇が広がっている。
しばらくじっと見つめていると二人の男が闇の中から姿を現した。黒い羽に長い尾、以前ダークエルフに盗まれたワインを追いかけたときに襲ってきたやつに似ている。
こうしてはっきりと姿を見ると翼に親指が一本しかないピヨと違い指は四本あり、足の形も違う。ピヨは木に掴まっていられるように足の指が手のように変形しているが、彼らは俺たちと同じように平たい形をしている。似ている種族のようで全く違うようだ。こちらの姿を見て男はへらへらと笑い出した。
「えへへへ、なぁーそんなに怖い顔すんなって俺たち別に変なやつじゃねーからよー。ただの地元のチンピラだよー」
「なに、お前それ自分で言うのかよ」
そう言って彼らはまた笑っている。
「ねぇあんたらさ、冒険者?にしてはなんか女の子多すぎない?もしかしてそういう関係?」
「なあーちょっと遊びに来ない?俺たちの村すぐそこだからさー」
「お前たちはなんなんだ?」
俺の問いかけに二人は顔をしかめた。
「はぁ?だからここの近くに住んでる地元民だってば。ってかお前こそなんなんだ」
そう言うと一方の男がニーナに近づき腰に手を回そうとした。
「近寄らないで!」
ニーナは剣を抜き、距離をとる。
「そんな物騒なもんしまってよーただちょっと近づいただけじゃん?」
「でも俺けっこう強気な子、調教するの好きかも」
二人は勝手に気持ちの悪い話で盛り上がっている。こいつらがどこまで本気なのか、またどのような種族なのかよくわからない以上下手に動くことができない。俺は下ろしていた短剣をそっと拾い上げた。