第120話 鈴踊りのサービタウルス族 1
次の村へと向かう道中、魔力を感じないとエレナーゼから告げられた亜李須川
森の中を地図を頼りに進んでいくとフィリアナの言っていた村が見えてきた。
「ちょっと俺が見てくるよ、みんなが休めるかどうか」
「ふふその心配はなさそうですよ」
フィリアナの言葉通り前方からはこちらの姿を見てケンタウロスの女の人が二人ほど歩いてきた。
「もしかしてあなたたちが旅人ですか?」
「ワイン泥棒を捕まえたんですよね?そのあとダークエルフの村にまで乗り込んだとか!」
二人は俺たちを明るくで迎えてくれた。
「いかにも!ここにいるアラスカワ兄さんが悪いダークエルフどもからワインを取り返したのです!」
「はいはい俺はアリスガワね、悪いんだけどちょっとだけ休ませてもらえないかな。あと食料も売ってくれるとうれしいんだけど」
俺はカルベネを無視し、村へと案内してもらった。どうやら以前戦いの時に駆けつけてくれたケンタウロスの男の故郷のようだ。
「すばらしい活躍だと聞きました、特に同じケンタウロスの女騎士について話していました。もしかしてあなたですか?」
「え?本当にあなたなのですか?お名前は?ぜひとも聞かせてください!」
二人のファンに囲まれてフィリアナは恥ずかしそうにしている。
「もうわたくしは特になにもしていませんわ、名前はフィリアナと言います」
「そうかフィリアナというのか、いい名前だな」
突然横から男の声がしたと思えば以前であったケンタウロスの男が木の陰から姿を現した。
「申し遅れた俺はスタンレイだ。まさかもう一度お目にかかれるとは」
「あらずいぶんわたくしの武勇伝を語ってくれたみたいですね」
スタンレイはフィリアナの近くへと歩いてきた。
「しばらくこの村にいるのか?」
「いえ少しだけですよ。わたくしには次の旅がありますので」
「そうか、悪いがだれかこいつらを宿まで案内してやってくれないか?まあ簡素な空家だがな」
そういうと彼はまたどこかへ行ってしまった。すると先ほどの二人とは違う少女が俺たちの元へ来た。ケンタウロスのようだが下半身が鹿だ。馬より一回り小さく華奢な印象を受ける。
「それでは皆さんこちらです」
俺たちは少女の後に続いて歩き始めた。すると途中でどこからかかわいらしい鈴の音が聞こえてきた。それは時に規則的でしかも一つではない。
「この音、気になりますか?では付いてきてください、きっと楽しいですよ」
言われたとおり皆、鈴の音のする方へと足を進めた。