第118話 未開の道 1
後ろめたい気持ちだったポリーンをニーナとピヨが励ました
ポリーンの調子も良くなり、みんなの怪我も大方治ったところで俺はカルベネたちに別れを告げた。
「兄さんもういっちまうのかい?そうか……残念だな」
「みんなにはすごくお世話になったよ、お前との出会いがなかったら俺たちはいまごろ旅を続けられていなかった」
カルベネは腕を組み、そうかそうかとうなずいた。
「兄さん私に恩義を感じているか?」
「もちろんだ、もう感謝しきれないぐらい」
「じゃあ私も連れて行ってくれよ」
その言葉に俺たち早くより後ろにいたクロウズリーが反応する。
「いや、カルベネもう大変なのは十分わかっただろ?お前がついて行っても迷惑なだけだ」
「でもー楽しそうだし、私もハーレム冒険クラブに入りたいなーって」
そしてこれを初めから企んでいたかのように荷物の入った鞄をどこからか取り出してきた。
「そんじゃーなーいくぞっ!」
周囲の仲間はのんきそうに手を振っている。
「その……悪いなあいつのことまかせたぞ」
そういうわけでこちらの意見を聞かないカルベネを新たな仲間に加え俺たちは村を後にした。
「ほんで、兄さんたちはどこに向かってるんだ?」
俺たちの行き先も知らずに付いて来たようだ。もうそこには特に驚きも無い。俺はダークエルフの村で見つけた証拠について話した。
「へえー闇の宗教ねぇ、怪しいカルト教団か楽しそうだな」
「俺たちはお化け屋敷に行くんじゃないんだぞ」
「ははは、それでその変な手紙の内容はわかったのか?そのもう一つの世界って?」
それは俺にもわからない。もしかして俺がもといた世界のことだろうか?だがダークエルフなど見たことも無い、もしかして自分が知らないだけで彼らはひっそりと暮らしていたのだろうか。
「もう一つの世界……アリスガワの故郷のことかもしれないな」
「ええ、わたくしもそのように思います。というかそうだといいですね」
カルベネはシャリンとフィリアナを交互に見ている。
俺は自分が違う世界から来たことを話した。するとカルベネは腹を抱えて笑い出した。
「なんだそれ、兄さんおもろいなー。え?え?もしかしてこれまじ?うっそだろ?!」
みんなの表情をきょろきょろと見回している。一人ではしゃいでいる彼女を無視し、これからの話をすることにした。
「ところでその絶極大地ってかなり遠いよな、どういう道でいこうか」
「そうですね、この近くにもう一つ村があるみたいです。そこへ寄ってみましょうか」
俺たちは物資の補給と宿泊先を探してフィリアナの提案した村へ向かうことにした。