第10話 森のハーピー族と猫盗賊団 3
猫盗賊団に囲まれてしまった二人、果たして生きて帰ることはできるのか?
猫盗賊の女は短剣を構えたまま俺のほうへ向かってきている。剣先に自身の顔が映るぐらい近づいたとき、俺は思い切り手に持っていたものを彼女に振りかけた。
「ごほ、なんだこの粉は?貴様私になにをかけた?!」
どうやら命中したようだ、だが半分人間である彼女に猫用のまたたびは果たして効くのだろうか?
まあ効かなくても今の隙にピヨをつれて逃げよう。
「あっ逃げるなこの、あ、れ?ふにゃ?」
女は酔ったようにふらふらとしだした。
「にゃにお、したんだ、きしゃま、ふぁ~」
そしてそのまま地面にへたれこんでしまった。その様子を見ていたほかの仲間が一斉に戦闘態勢に入る。
「今の粉はなんだ?まさか麻薬か?」
「くそ、この野郎くたばれ!」
横から盗賊の一人が鋭い爪を立て俺に掴み掛ってきた。
「うげっ!」
どこにいたのかは知らないが洞窟の壁からピヨが俺に襲いかかろうとしていた盗賊に飛び乗った。体は小さいが死角からの一撃に盗賊はあわてふためきそのまま倒れた。
「なんだこいつは離れろ!」
「このこの!悪いどろぼうめ!」
ピヨは盗賊の顔に覆いかぶさったままもみくちゃになっている。
「くっ……なんなんだ今のは一体?」
そんなことをしている間にまたたびに酔っていた女は起き上がってしまった。このままではまたやられてしまう、俺は意を決して女に質問をした。
「なぜお前たちは人さらいなんてしたんだ?」
「なぜ、だと?」