第115話 証拠調査 3
水晶玉の台座裏に手がかりになりそうな紋章を発見した
シャリンは帰って早速その紋章をみんなに見せた。しかしだれも心当たりがないようだ。
「うーんなんでしょうこれは、竜の顔のようにも見えますね」
「この隣にあるのは火?あたしは全然知らない」
「そうか……なら仕方ないな」
再びシャリンは悲しそうな表情を浮かべた。すると端のほうで座っていたセシリアが口を開いた。
「ロンドーラル様なら何か知ってるかもしれない、とても物知りだから」
次の日彼女の提案により俺たちはエルフ族の村へ寄り、紋章について聞いてみることにした。
ロンドーラルは俺たちの姿を見るとうれしそうに目を細めた。
「よく帰ってきてくれたな無事でなによりだ、さあさあ中に入りなさい」
俺は持ってきた水晶玉の台座を見せた。
「この裏の紋章についてなにか知っていますか?」
すると彼は朗らかだった表情を一変させ苦しそうに眉をひそめた。
「うーむこれは……これは闇の宗派のものだ。この世界を二分する宗派の一つでな、デーモンズクランだったり虚無の崇拝者などと呼ばれているが」
「なるほどそれでその宗教の人に会うにはどこに行けばいいんですか?」
俺の言葉を聞き、さらにロンドーラルは渋い表情を浮かべる。
「会うなど、やめておきなさい。彼らは君たちの手に負える連中ではない」
「でも元をたどらなければ問題は解決しないんだ」
シャリンがロンドーラルに詰め寄る。彼はうーんとうなり首を傾げた。
「はあ仕方がないそこまで言うのなら場所は教えよう、でも彼らとの接触は控えたほうが良いぞ。闇の宗派は悪魔によって作られたと言われている、命の保障は無い」
今までならここで悪魔を崇拝しているだけのただのカルト集団だとしか思わなかっただろう。しかし実際にこの目で悪魔というものを見たため彼の言葉がとても重く感じる。
「お話の途中失礼しますロンドーラル様、私は命じられたとおりダークエルフの陰謀を調査いたしました。ですので私はこれにて下がらせていただきます」
後ろでセシリアが丁寧に頭を下げた。
「いやいや何を言っておる、お前もついていきなさい」
「ええ?!もうせっかく帰って来れたのに……」
ロンドーラルの命令にセシリアはたまらず小言をもらす。
「お待ちください、それならば自分が同行いたします」
近くで聞いていたのか扉を開けてフィヨルドが入ってきた。
「なんだ盗み聞きとは、これは彼女のへの指令だぞ」
「ですがまだセシリアは子供、そのような場所に行くなど危険すぎます」
ロンドーラルは白く伸びた口ひげを触りながらやれやれと言うように目線を流した。
「今回もちゃんと帰ってきただろうに、かわいい子には旅をさせろとよく言うだろう?」
この後しばらくフィヨルドはロンドーラルに日ごろからの苦情を含め、抗議を続けた。