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第113話 証拠調査 1

首謀者を捕らえたあと、地獄の犬をもといた場所へと返した

俺たちはその後しばらく調査したあとサテュロスの村へと戻り休憩をとった。


 どうやら捕まえた首謀者の男は村長ではなく自警団の一員であることがわかった。攻撃してきたその他の兵士たちも命令に従っていただけで中には金で雇われていたただの村人も含まれていた。村長に裏で金を回し黙認してもらっていたようだ。大量の宝石、もとい魔法石の購入に加えその他の運営資金が多くかかったため今回のような盗みに走ったと考えられる。


 以前シャリンが言っていた闇のオークが強力な黒魔術に関わっているという証拠は得られたが、当初の予想通り俺が元の世界へ帰るための手助けはしてくれそうにもない。


 見つけた資料のほとんどは他の地域に住んでいる同族からの手紙や資金のやりくり、魔術に関する本などだった。しかしその中に一つ気にかかる手紙を発見した。それは一番奥の小部屋の鍵のかかった机の引き出しにしまわれていた。


 宛名の無い手紙、いや手紙と言うよりメモと言ったほうが良い。内容はこうだ。


 天国への道は地獄の道

 

 生者と死者が交わる門をくぐり 自殺者の森を抜け 血の池を泳ぎ 闇の底に潜む魔獣の裁きを受けよ


 懺悔と祈りが光に届いたのならば天国への道は開かれる


 どういう意味なのかさっぱりわからない。そもそもダークエルフたちは地獄への扉を開けようとしていたはずだ。もしかすると全く意味の無いただの言葉遊びのようなものかもしれない。


 しかし最後にもう一つの世界の使者よりとだけ記されていた。もう一つの世界、この言葉が気にかかる。


 俺たちは今は投獄されている首謀者の男の元へと足を運んだ。彼はこちらの姿を確認するとゆっくりと顔を上げた。


「フヒヒ……これはこれは……勇者様ご一行本日は何の用ですか?」


 俺はなぞの文章が書かれた紙を差し出した。


「ここに書かれている内容はどういうことだ」


 男はちらりと見て肩をすくめた。


「それが私にもわからなくてですねぇその場所を見つけて欲しいと頼まれましたが」

「だれに頼まれたんだ、もう一つの世界の使者とはなんだ?」

「さぁねぇ、私も会いましたがどうも胡散臭くて嘘か真かわかりませんでした。我々にその天国への道とやらを探して欲しいと言ってきましたが」


 そんな胡散臭いやつらから命令されてやっているのか、それともそれとは別に地獄の扉を開けようとしているのか。


「じゃああの水晶はだれから貰ったんだ、これと同じものを俺は以前ゲルボルク領で見たことがある。その別の世界から来たやつから命令されたのか?」

「いやいやそれは自分たちで勝手にやっていることですよ。そんなやつら信用なりませんからね。あとあれは私の弟子でしてね、どれぐらい被害がでるか実験してもらったんですよ。まあ残念ながら勇者ご一行に阻止されてしまいましたが」


 後ろでフィリアナが体にぐっと力を入れるのを感じた。すでにあの時点で俺たちの行動は監察されていたことになる。俺は一呼吸おいてから質問を続けた。


「それでその水晶は?」

「えーとそれは誰でしたかな、古物商から買ったものでね。へへへ、すいませんねぇ」


 男はわざとらしく首を振った。俺はふざけた態度に怒りを覚えながらその場を後にした。


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